前中国大使、伊藤忠商事前会長の丹羽宇一郎氏の講演を聞いて来ました
氏は昭和14年1月、名古屋市で生まれ、昭和37年
名古屋大学法学部を卒業し、伊藤忠商事に入社。主に食料部門を歩む
平成10年同社社長、平成16年会長に就任
平成22年中華人民共和国駐箚特命全権大使
平成24年依願退官
昨年6月から日中友好協会会長を務めている
尚氏は伊藤忠入社後、5~6年間位 大宮に住んでいて懐かしいと言っていた。
テーマは「日中関係と日本のこれから」
現場の生の実情を最近まで知っている前駐中国大使から
直に聞けることはなかなか無い
・まず最初にグローバリゼーションで私達の
日々の生活に影響を与えるように
成った国際情勢から話に入った。
・原油安に伴うオイルマネーの動きは大変だ
原油価格は7~8年前がピークで1バール147.7ドルだったのが
今30ドル。80%下がった
産油国が儲けた金は運用資産になったが財政赤字を埋める為
一部売りながら税収を補っている
サウジの名目GDPは500兆円。
この20%を回収に入っている
・一方アメリカがバラまいたドルを、ここで引き締めに入っている
産油国と同じでこの金はどこに行くのか?
US$とオイルマネーのバラマキを回収に入って
金が逆流し始めた
債権、株の世界同時安の背景にはこの金の動きがある。
・故に世界の金融市場は実体経済を反映していない。
上海市場もそう見るべきだ
氏はその観点から世界経済と実体経済を
結び付けない方が良い。年金資金はバタバタしているが
ここは右往左往しない方が良いと強調していた。
。そして本題の中国問題に話は移った
今、米国は世界を取り仕切る力がなくなった
アフガンからシリアまでことごとく失敗。米国の一存で決まらなくなった
・一方中国は実力以上の評価
北朝鮮については1500K~1600K国境を接し
200万人の朝鮮族が難民となったら中国はたまったものではない
とにかく今のままで凍結するのがベター
日本にとっても生かさず殺さずが一番いい
・以上パックスアメリカーナの世界のレジームは大きく変革の時代になった。
政治は不安定の時代が続き、混迷の時代だ
・確かに中国は大爆発みたいにすさまじい力で台頭してきた
しかし日中の国民は昔のイメージしか持っていない
日本人は中国を嘘つき、汚いのイメージ。片や中国は日本人を怖いと見ている
ここはデーターで科学的に見る必要がある。
・習近平政権は今権力を掌握しようと一生懸命
今までやったことのない軍の再編をやっている
対外的には来年から対日政策を変えるのでは
・政権の将来は2つの事で決まる
1つは経済が怖い。一番力をいれているのは
経済改革。12.5万社ある国営企業の民営化
・もう1つは中国共産党の信頼が国民から無くなるのを一番恐れている
良い所と悪い所が拡大し、都市によってまだら模様
北京、上海、深圳などの住宅はまだアップしている
悪いのは東北3省と西部の省
国民の生活面から貧困層の撲滅の為
最低賃金の引き上げをしている
・氏曰く、中国はこうだからと決めつけない方が良い
現状はまずまずで、この先現状の困難を乗り越えて、行くのではないか。
・現在米国欧州の中国への投資は増えているのに
日本は引いている。それが心配だ
・それでは日本はどうやって立ち向かって勝っていくのか。
それは金では買えない日本人の信用と信頼だ
世界約100か国で日本人は信用がある
今まで日本は軍隊を派遣してないのが、この信用につながっている
・そして最後には日本人について話して終わった
近年、日本人は動物的な感覚を失っている
例えば賞味期限など制度がおかしい。
・日本の教育は昔の寺子屋、僧侶の説教がベース(ex嘘つくな)これは哲学だ
今の日本人は甘っちょろい。子供は海外へ
短期間でも行かせて、外国では皆どんな生活をしているか
体験させたらいい。
・信用と信頼では中国に勝てるのに
このままでは、日本は強くならないと
警鐘を鳴らしていた。全く同感だ。