思考の部屋

日々、思考の世界を追求して思うところを綴る小部屋

人生最高の美味

2015年07月21日 | 哲学

 最初に断わっておきますが、料理の話ではありません。・・・しかし人生をどのように料理すべきかと考えれば・・・遠からずかも知れません。

 今年の2月に出版された『幸福に死ぬための哲学 池田晶子の言葉』という本があります。講談社から出されている哲学者で文筆家であった池田晶子さんのこれまでに出版された著作から「人生」「自分」など11個のテーマに池田さんの短い言葉を抽出してまとめた本です。

 呼んでいるとまさに魂が残るということを実証したような現実を感じます。本人は肉体的にはその存在をこの世から失いますが、そのまなざしは残り続ける。永遠とは云えませんがまさに今語りかけているように思います。

 YouTubeには「生きていることとは何だろう? 池田晶子 当たり前だけど不思議なこと」という短い話が掲出されていて17万回以上も今もなお聞かれています。

 11のテーマとは、「人生」「幸福」「愛と孤独」「自分」「善悪」「世の中」「科学と情報」「言葉」「老い」「死」「考える精神」で、自分のこれまでに書いたブログもこれらのテーマに収斂されることに驚きます。

 私は、「魂は残る」ことをこのブログの最初に書いたのですが「魂」というテーマはありません。

 「魂」という実体が有るのか無いのか不明なものは感覚で味わうものであって、現在・過去・未来を思考の背景に乗せた「魂」というものは本当に不明確そのものであることに気づきます。

 池田さんのテーマの中から今朝は一つ紹介します。

「人生」から、

 <人生最高の美味>
 結局のところ、「死」こそが、人間にとって最高の謎であり、したがって、また魅惑なのだ。
 少なくとも私は、そうなのである。言葉と論理、すなわちすべての思考と感覚が、そこへと収斂し断絶し、再びそこから出発してくる力の契機としての「死」。この人生最大のイベント、これの前には、生きんがためのあれこれなど、いかに色あせて見えることか。死を恐れて避けようとし、生きんがためのあれこれのために生きている人は、死を考えつつ生きるという人生最高の美味を逃していると言っていい。『残酷人生論』

 ガンでお亡くなりになった池田さんです。この文章はガン告知後の言葉なのか否かはわかりませんが、私には池田さんの生(なま)の言葉のように聴こえます。

 幼い命を自ら断つ子どもたちを時々耳にしますが・・・一方所さんの番組でしたか・・・すごい哲学的な言葉を持つ子どもたちもいます。

 親が育て、環境が育てるのでしょうが、生死観か死生観か、早い時にこの前後の意味を問う力をつけるべきなのかもしれません。

 魂の引継ぎとしては、死生観であることを説かれているように思う。


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