レクチャーコンサート、というタイトルに惹かれてチケットを購入しました。
指揮者の大野和士さんが、ピアノを弾きながら何かやる、という程度のことしかわかっていませんでした。
内容は「カルメン」であるということ、歌の人も出るということを知ったのは、かなり後になってからのことでした。
パンフレットには、このような挨拶文が書かれていました。
~レクチャーコンサートに寄せて~
「カルメン」は言わずと知れた名曲です。「フィガロ」や「ボエーム」などと並んで、曲全体のプロポーション、台本の構成、音楽によるドラマタイゼーションのたくみさ、登場人物のすみずみにまで血が通っている点などをあげて、「もっとも完璧なオペラの一つ」と言われています。それに加えて、注目すべきは、この作品が、他ならぬフランス語オペラの真髄を極めている点です。今回は特に、フランス語の洒脱さ、粋、官能を刺激する独特の節回しや、和声感に焦点をあてて、オペラ「カルメン」の魅力に迫りたいと思います。
また、オペラに出てくる対照的な二人の女性、カルメンとミカエラの鬼気迫る対決を通して、人生のパートナーとしてどちらのタイプを選ぶか、という、私たち永遠の課題へも考えを馳せて参りましょう。 大野和士
会場の県立音楽堂は自宅から近く、便利です。
こういう内容で観客の入りはどうかな、と思っていたら、ほぼ満席のようでした。
オペラこそ見たことはないものの、「カルメン」は、ストーリーも知っているし、曲も何度も聴いたことがあります。
でも、大野さんのピアノ、ミカエラ、ホセ、エスカミーリョ、カルメンの4人の歌、そこに大野さんの楽しくわかりやすい解説が入ると、すべてが新鮮に感じられました。なんとなく聞き流していたような部分に、とても深い意味があったこともわかりました。
大野さんはピアノを激しく弾き、そしてマイクを持って解説をし、たくさんの譜面を自分でめくって、立って歩いて、大忙しでした。
なんともおもしろかったのが、ホセの歌の音楽は「(夢見ここちで)もやもやしてるか(カルメンにぞっこんで恋の炎が)メラメラしてるか、ふたつしかない」とか、「カルメンの魅力は、小柄な体、黒い大きな目、そしてその目がロンパリだったこと」などの話しです。
目がちょっと斜視のため、どこを見ているかわからない(男性はカルメンが自分を見ているものと思い込んで、喜んでしまう)のがとても魅力的だったそうな。
私も目は大きいので、どこを見てるかわからない目つきができたらなぁ。
それでも、カルメンのような魔性の女にはなれないですが・・・。