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エレジー (2008/米)(イザベル・コイシェ) 65点

2009-02-12 14:53:12 | 映画遍歴
世にいう老いらくの恋ではないのでしょう。むしろ若者より元気があり過ぎる年齢は老人の、実際は十分青年のハナシであります。

何かこの役のベン・キングスレーには違和感があります。風貌からこの役をやらせるとむしろ絶倫オジンのように思えてなりません。教授特有の文化人の持つ教養といやらしさも併せ持っています。結婚という制度はよくないと言い張り、長年寄り添った女を愛人にしながら適当に若い女も摘み食っている、要するにイケスカない男なのであります。

そんな男が容貌と肉体から欲望し接近した本当の女性と愛し合うが、自分の枠を変えようとしない。自分の生活を変えてまで女を愛しようとしないのである。本当は自分のことを一番愛しているのである。エゴイストなのである。

そんな男の心情を確かめようとするペネロペ・クルスが気の毒である。理想的な女性に描かれている。人は見かけによらないのである。いい女である。

そして、女が、完璧な美を持つ女が体の一箇所を欠如することになると男は初めて愛を感得することになる。何を、いまさら、身勝手ではないか、と僕なんて思ってしまう。

コイシェは女性監督である。むしろ彼女は男の気持ちをよく分かっていると思う。男って、だいたいこういう風に外見から入っていく。(まあそうでもない人もいるけれど、、)女を漁るような所有欲はだいたい若いか年老いているかに関係なく、そんなものだ。またセックス欲も肉体よりも精神面からの影響が大きい(らしい?)。だから男は見かけでは分からないらしい。

コイシェの女性像は本当に今でもそうなんでしょうか、、。女が2年も離れて前の男を愛している、というのもあり得るけれども現代では嘘っぽく感じます。逆バージョンはあるかもしれないけれども、、。

やはりミスキャストかな。でも彼の役をリチャード・ギアがやってしまったら、オハコすぎて完全大恋愛映画になってしまうでしょうし、何ともいえないが、、。
男が何でも話し込んでいた親友役のデニス・ホッパーは渋い、いい顔になったね。彼とベン・キングスレーと変わってても良かったのかもしれません。

この映画は登場人物5人程度だけれど、みんないい演技をしています。僕はむしろ作品の中身より5人の演技に見とれていたような気がします。老愛人役のパトリシア・クラークソン、父親とは違って誠実な役柄のピーター・サースガードも冴えた秀逸な演技でした。

でも、ちょっと古臭いテーマと思いませんでしたか?

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