阿部公房の50年前ほどの名作の映画化。知ってはいたが、未読の作品だ。意外と前衛とか実験とか形而上学的とかそんな表現はこの映画にはそぐわない。
現代に生きている我々は箱男の心情はわかる気もするから、それほど難しい映画だとは思わなかった。ストーリーを探ろうとすると阿部公房の迷宮にはまりそうなので、なるべく距離を置いて客観的に映像を眺めることにした。
とすると、1人の男の人格分散のような気もするし、コメディとして見てみるとそれなりにいとおしいものあり、かなり幅広く、面白く鑑賞できた。
ずっと楽しく見ていたのだが、ラストで簡単な答えらしきものが言及されていて、急速にこの映画のすごみがしぼむのを感じる。言わなくてもそれぐらい映画ファンならわかると思いますヨ。ねえあなた。それだけがちょっと残念。
でもこの作品の映画化はとても喜ばしいことです。中盤の浅野の熱っこい狂気といい今年の収穫です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます