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クレイジー・ハート (2009/米)(スコット・クーパー) 70点

2010-06-24 13:18:02 | 映画遍歴
何故なんだろうなあ。それほど感動しないんです。いい映画とは思うけれど、僕の心にズキンと刺さって来るものがなかった、、。
で、何故なのかを考えます。

一時は一世を風靡し、しかし今は寄る年波で(57才なんだから仕方ないとも思うけれど)、ただ流れで毎日を場末の飲み屋でショーを開いてその日暮らしをしているシンガー。けれど彼にはまだしゃんとしたマネージャーがおり、行くところどころには友人たちも控えている。

いわゆる終わったシンガーではなく、まだ現役の老シンガーである。過去の栄光を観客の思い出と共有できる恵まれたシンガーでもある。場末のファンであろうと、ちゃんと彼の曲を全員が聞いている。まだ生きる道は確保されている。

なのに、酒を飲み過ぎ、あろうことか歌の途中で(うまく誤魔化したが)ステージから裏口へ出て激しく嘔吐する。プロにはあるまじき行為。しかも、最後までちゃんと歌わず終わるときもある。ここで僕はちょっと引くことになる。

その後、ちょっといかした子連れの女といい仲になるが、酒はやめようとせず女とトラブルになる。遊園地の迷子ぐらいでと僕なんかは思ってしまうが、そこが男と女の違いでしょう、三下り半を突き付けられる。

そこで男は療養所に入居したり、弟子だった人気歌手の作曲を手がけたりして想像していた悲惨な晩年の歌手生活は送らない様子だが、僕からすれば、周囲がいい人達ばかりの恵まれた往年のシンガーの物語である。何かあってもすぐ助ける人のいるラッキーな人なのである。

20年近く置き去りにした息子を急に思い立ち電話を入れる。元妻は亡くなったことを知るが、その状況さえ聞かない男。そのくせ息子には会いたいと一度の電話で申し入れる。年はいってはいてもガキ同然の男だ。当然息子からは拒否される。せめて母親のことを気にかける父親でないと、会うことなんて出来はしない。当然のこと。

と、同じ設定ではあっても『レスラー』とは全く趣の違う映画でした。心の響くものがほとんどないまま映画は終わる。

でも、すごいのは【ジェフ・ブリッジズ】と【コリン・ファレル】の歌のうまさ。アメリカの映画はいつもそうですが、こういう音楽シーンでも吹き替えはほとんどない。敢えて言えば、歌のシーンだけはしみじみ僕の心が唸りました。それだけでも十分価値のある映画だと思います。

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