Sightsong

自縄自縛日記

ティム・バーン『The Fantastic Mrs. 10』

2020-04-27 20:25:06 | アヴァンギャルド・ジャズ

ティム・バーン『The Fantastic Mrs. 10』(Intakt、2019年)を聴く。

Tim Berne's Snakeoil:
Tim Berne (as)
Marc Ducret (g)
Matt Mitchell (p, tack p, modular synth)
Oscar Noriega (bcl, bb-cl)
Ches Smith (ds, vib, glockenspiel, Haitian tanbou, gongs)

待望のスネイクオイル新作。レーベルがこれまでのECMからIntaktとなり、またギターがライアン・フェレイラからマルク・デュクレに変わった。レーベルのことはともかく、ギタリストの違いによるサウンドへの影響はやはり大きい。フェレイラもデュクレもヤバい人だが、音がスマートからより捨て鉢なものにシフトしたような。

それよりも大きな変化として感じられることだが、サウンドの方向性を確信的に定めたように思える。

コンポジションに沿って共同作業で創り上げてゆくものは、従来型の各々が引き立つようなアンサンブルなどではまったくない。コンポジションという共通の参照先を持ちつつ、ユニゾンで近づいたり各自がブーストしたりして、5本の強靭な脈動を走らせている。その結果として、たとえば粘りうねるティム・バーンのアルトがオスカー・ノリエガのバスクラと強力に接続されているようなところもある。すなわち有機的な結合のさまがこれまでとはまた別次元に移行しているようである。同じコンポジションという言葉でもずいぶん適用の仕方が異なるものだ。

粘りのバーンとノリエガ、糊のデュクレ、それから散発的な煌めきのマット・ミッチェルとチェス・スミス。これは凄い。華々しい悪夢のようだ。

●ティム・バーン
ティム・バーン Snakeoil@Jazz Standard(2017年)
ティム・バーン+マット・ミッチェル『Angel Dusk』(2017年)
イングリッド・ラブロック UBATUBA@Cornelia Street Cafe(2015年)
ティム・バーン『Incidentals』(2014年)
イングリッド・ラブロック『ubatuba』(2014年)
ティム・バーン『You've Been Watching Me』(2014年)
ティム・バーン『Shadow Man』(2013年)
チェス・スミス『International Hoohah』(2012年)
ティム・バーン『Electric and Acoustic Hard Cell Live』(2004年)
ティム・バーン『The Sublime and. Science Fiction Live』(2003年)
ティム・バーン+マルク・デュクレ+トム・レイニー『Big Satan』(1996年)
ルイ・スクラヴィス+ティム・バーン+ノエル・アクショテ『Saalfelden '95』(1995年)
ジョン・ゾーン『Spy vs. Spy』(1988年)
ジュリアス・ヘンフィルのBlack Saintのボックスセット(1977-93年)


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