Sightsong

自縄自縛日記

代島治彦『きみが死んだあとで』

2022-08-12 08:46:46 | 政治

代島治彦さんの三里塚二部作に続く『きみが死んだあとで』(2021年)、見逃していたがアマプラにあった。

 

1967年、佐藤首相の南ベトナム訪問を阻止しようとして学生たちが機動隊と衝突し、山﨑博昭という18歳の若者が殺された。言うまでもなく日本の対米従属、とくにベトナム戦争への介入に対する異議申し立てだった。

数多くの証言者たちのひとりとして、死者と高校の同級生だった詩人の佐々木幹郎さんが登場する。理知的に話していたが、自分自身がヘルメットの上に置いた両手を機動隊の棒で殴られ潰されたときの体験を語る段になって、突然目がらんらんとして恍惚の表情、「山﨑、おまえもあのとき、死んでなるものかという気持ちだったはずだ」と生への欲望を漲らせる。驚愕した、なんという映像を撮ったのか。

そして駿台予備校講師の山本義隆さん。かれは東大全共闘議長であったために逮捕されて大学を追われた。僕は高校三年生のとき、福岡まで出て行って物理の講義を受けた。あまりにもおもしろく、また科学史についての余談も興味深く、もう数十年前のことなのに忘れられない。あのときのにやりとした表情も変わっておらず嬉しくなってしまう。映画では演説をする当時のフィルムを山本さん自身に見せるという場面があって、これにも驚いた。すごい映画だ。『磁力と重力の発見』も読まないとな。

●代島治彦
代島治彦『三里塚のイカロス』(2017年)
大津幸四郎・代島治彦『三里塚に生きる』(2014年)

●山本義隆
山本義隆『近代日本一五〇年 ― 科学技術総力戦体制の破綻』
山本義隆『私の1960年代』
山本義隆『原子・原子核・原子力』
山本義隆『福島の原発事故をめぐって』
山本義隆『熱学思想の史的展開 1』
山本義隆『熱学思想の史的展開 2』
山本義隆『熱学思想の史的展開 3』
山本義隆『知性の叛乱』


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。