川上高志『検証 政治改革』(岩波新書、2022年)。
1994年の政治改革が何をもたらしたのかについてはずっと気になっている。たとえば、中北浩爾『現代日本の政党デモクラシー』では、小沢一郎にとって「政治の主役は有権者ではなく政治家であり、民意の代表は二義的な問題に過ぎない」ものであったと指摘されていて、だとすれば現在の状況はある意味では狙い通りだったわけである。
本書で興味深いのは、中選挙区から小選挙区への変化が派閥の弱体化をもたらしたということ、政治家が地元への利益誘導ができなくなったことは新たな分配のメカニズムとセットではなかったということ、そしてキョーフの官邸主導の改革が進められた一方でその歪みを制御する仕組みをビルトインしていなかったということ。
だから政治家が文字通り無責任になったことも、アレとかアレとかが登場したことも、いまになってみれば当然の帰結であったのかもしれない。
●参照
中北浩爾『自公政権とは何か』
中北浩爾『現代日本の政党デモクラシー』
小林良彰『政権交代』
山口二郎『政権交代とは何だったのか』
菅原琢『世論の曲解 なぜ自民党は大敗したのか』
中野晃一『右傾化する日本政治』