Sightsong

自縄自縛日記

生存権、生存思想

2020-11-23 10:56:56 | 沖縄

沖縄の金武湾闘争を引っ張った崎原盛秀氏が先日亡くなったと聞いて、思い出して、上原こずえ『共同の力』(世織書房)を紐解いた。買って積みっぱなしだった。

施政権返還前、1960年代の終わりころから、金武湾に大規模な石油備蓄基地を造る計画が持ち上がった。それに抵抗する住民の運動が高まってゆき、計画縮小という成果を得た。

・・・というくらいの認識だったのだけれど、本書を読むと、この運動には別の大きな意義があったことがわかる。つまり、運動を通じて、「生存権」という思想を抽象的なものから血肉化していったということ。そこからは、地域主義、コモンズ、エコロジー、非暴力、ヤポネシア思想など、多くのものにつながる考えも発展した。この問題の情報誌としてスタートした『琉球弧の住民運動』の復刻版(800ページ超、1万うん千円!)のあとがきには、故・新崎盛暉氏が、沖縄の反基地運動も反環境破壊運動もこれがモデルケースになったのだと書いている。(大したことはしていませんが、僕もこの復刻版の編集委員に名を連ねています。図書館ででも読んでみてください。)

●参照
東陽一『沖縄列島』、『やさしいにっぽん人』(1969年、1971年)
宮本常一『私の日本地図・沖縄』(1970年)
日本ドキュメンタリストユニオン『沖縄エロス外伝 モトシンカカランヌー』(1971年)
唖蝉坊と沖縄@韓国YMCA(2017年)
嘉手苅林昌「屋慶名クワデサー」、屋慶名闘牛場


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。