Sightsong

自縄自縛日記

ウルトラマンと沖縄

2022-06-19 12:25:01 | 沖縄

沖縄の天才・金城哲夫と上原正三の若いころを再現したドラマ『ふたりのウルトラマン』。かれらは施政権返還前の沖縄からパスポートを持って日本に渡り、特撮ドラマのパイオニアになった。

https://www.nhk.jp/p/ts/PN3P16XW6Y/

金城が沖縄で作った映画『吉屋チルー物語』(1963年)を観ると、かれが沖縄独自の歴史に並々ならぬ誇りをもっていたことが伝わってくる。ウチナーグチがまるで解らないので(知念ウシさんによる字幕版があるそうだ)、せめて、チルーが遊女になった境界たる比謝川の唄を聴いてみる。むかし那覇の高良レコードで100円で買った。

それにしても、この世界から「ニライカナイ」=「光の国」=「ウルトラの星」を創造した金城の凄さに、あらためて驚かされる。ずいぶん前、沖縄に戻ってからの金城の仕事場を見せてもらったことがある。酒浸りになったかれがそこの屋根から転落死した経緯は不明だったはずで、たぶん、上原正三『ウルトラマン島唄』における想像がドラマにも活かされている(上原さんはやさしい)。

『ウルトラマン』『ウルトラセブン』『帰ってきたウルトラマン』が放送されていた当時、日本の子どもたちは沖縄との関連にはまったく気づかなかった。だが、たとえば『帰ってきたウルトラマン』において上原が脚本を手掛けた「怪獣使いと少年」を観て、社会の差別構造にショックを受けた子どもは少なくなかったにちがいない。その背景には沖縄人・上原のココロザシがあった。『万引き家族』の是枝裕和監督もテレビドキュメンタリー『シリーズ憲法 〜第9条・戦争放棄「忘却」〜』においてそのことを語っていた。

沖縄という観点でのウルトラシリーズの語りなおしはまだまだこれからだ。

●参照
上原正三『金城哲夫 ウルトラマン島唄』
怪獣は反体制のシンボルだった
『OHの肖像 大伴昌司とその時代』
『怪獣と美術』 貴重な成田亨の作品
佐野眞一『僕の島は戦場だった 封印された沖縄戦の記憶』
『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説』 これはもう宗教(2009年)
ウルトラマンの新しい映画(2008年)


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