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自縄自縛日記

Eri Liao 家族会議 presents 台湾原住民族タイヤル族・リムイ アキ著『懐郷』読書会+ミニライヴ@渋谷Li-Po

2023-11-26 22:39:44 | 中国・台湾

渋谷のLi-Po(2023/11/26、マチネ)。

台湾原住民・タイヤル族のリムイ・アキが書いた小説『懐郷』(台湾では先住民族のことを原住民と称する)。ここに登場する男たちは救いようがないほど乱暴で、酒に溺れ、妻を人間でないかのように扱う。男性としては我が身を責められているようでつらい―――そんな行動はしていないとしても。その「許してくれない」感覚こそが、これまでマイノリティ文学が女性目線で書かれてこなかったことの裏返し。在日コリアン文学にもそのようなところがある、梁石日とか、というコメントがあった(そういえば、李恢成だってそうだ)。

以前、エリ・リャオさんがアントニオ・カルロス・ジョビンのボサノヴァをタイヤル語で歌ったときには驚いた。それは外部での表現であり、「当事者」を代表しているわけでも背負っているわけでもない。『懐郷』でもまた、図式的なキャラの当てはめが回避されているという。大文字で語ることと回避すること、当事者性を引き受けることと回避すること、正解はないしバランスを取ろうとする行動すら正しいかどうかわからない。

たとえば他の原住民・アミ族やパイワン族の中にはみんなで一緒に愉しく声を合わせる歌があるのに対し、なぜかタイヤル族の歌はひとりで呟くようなものだという(エリさん曰く、フリースタイルのラップのような)。山の中で相互の行き来が難しいからこその文化のありようで、おもしろい。タイヤル族は口琴も多く使う。

それどころか日本の歌謡曲のレコードを買ってきてみんなで聴いたり(<骨まで愛して>など)、自ら日本の歌を作ったりもすることもあったという。もちろんここには日本の統治時代の影響がある。蕃童教育所(「蕃」とは未開、未開の子どもを教育するなんて酷い名前)では日本の唱歌も教えていた。ところでなぜみんなで聴いたかというと、市場経済・貨幣経済が浸透しておらず、豚肉もレコードもだれかが買い、山に持ってあがり、共有していたからだ。(このあたり、沖縄のゆいまーるや共同売店を想起させるところがある。)

そのような話をした。最後にエリさんのライヴ。

Fuji X-E2, Leica Elmarit 90mmF2.8 (M)

●エリ・リャオ
エリ・リャオ・インタビュー(Taiwan Beats)(2023年)
エリ・リャオ+太田朱美+伊藤志宏@成城学園前Cafe Beulmans(2023年)
音楽詩劇研究所・ユーラシアンオペラ2022「A Night The Sky was Full of Crazy Stars」@SHIBAURA HOUSE(2022年)
エリ・リャオ+河崎純~台湾歌@ココシバ(2022年)

●台湾原住民
新井一二三『台湾物語』
何義麟『台湾現代史』
丸川哲史『台湾ナショナリズム』
佐谷眞木人『民俗学・台湾・国際連盟』
黄銘正『湾生回家』
ウェイ・ダーション『セデック・バレ』
侯孝賢『非情城市』
Sakurazaka ASYLUM 2013 -TAIWAN STYLU-
デイヴィッド・ダーリング+ウールー・ブヌン『Mudanin Kata』
Panai『A Piece of Blue』、Message『Do you remember the days when we could communicate with ...』
趙暁君『Chinese Folk Songs』二二八国家記念館、台北市立美術館、順益台湾原住民博物館、湿地、朋丁、關渡美術館(、当代芸術館)


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