Sightsong

自縄自縛日記

大和田俊之『アメリカ音楽史』

2018-05-25 07:13:32 | ポップス

大和田俊之『アメリカ音楽史 ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで』(講談社選書メチエ、2011年)を読む。

本書で対象とする音楽は幅広く、最初は散漫な印象を受ける。しかし読んでいくうちに、ミンストレル・ショウ、ジャズ、R&B、ロック、ヒップホップなど、そのいずれにおいても、その時点から過去に向けられた黒人と白人双方の欲望が交錯する領域に形成されたのだとする大きな視線があることがわかってくる。それが「偽装」というふるまいによってあらわれてくるというわけである。

その視線の中にアフロ・フーチャリズムも入っており、面白い。つまり、サン・ラなど黒人音楽家たちは、SF的想像力によって「惑星的他者」を偽装し、自らのアイデンティティを再確認したということである。ここにもオクテイヴィア・バトラーの名前が登場してくるのだが、そうなれば、ニコール・ミッチェルの活動もその文脈で捉えられる。

一方、ジャズのモード奏法こそが歴史的な断絶であり西洋からの解放だとする論旨には、ちょっと納得しにくいところがあった。


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