斉藤耕一『無宿』(やどなし)(1974年)を観る。
高倉健と勝新太郎が共演した唯一の映画だそうだが、そんなことを感じさせないほど相性が良い。
それに加え、梶芽衣子、安藤昇、大滝秀治、殿山泰司、石橋蓮司、山城新伍と、もう堪らぬ豪華なキャスティング。梶芽衣子は、「野良猫ロック」、「女囚さそり」、「修羅雪姫」といった当たり役をひとしきり通過したあとの演技で、恥ずかしげもなく、アンニュイに上目使いで甘えるキャラを打ち出している(もちろん、悪くない)。いやあ、みんな良い俳優だなあ。
ストーリーは任侠版『冒険者たち』といった感じで、憧れとともにフランス映画を意識したような印象が愉快。ロケ地は、京丹後あたりのようで、日本海はやはり碧い。望遠レンズを多用した撮影も効果が出ている。思いがけず良い映画に巡り合った(が、昔いちど観たような気が・・・?)。
>> 映画のスチル集
●参照
○降旗康男『あなたへ』(高倉健主演)
○蔵原惟繕『南極物語』(高倉健主演)
○降旗康男『地獄の掟に明日はない』(高倉健主演)
○健さんの海外映画
○勅使河原宏『燃えつきた地図』(勝新太郎主演)