Sightsong

自縄自縛日記

エヴァン・パーカー『Electroacoustic Quartet / Concert in Iwaki』

2021-07-30 08:49:05 | アヴァンギャルド・ジャズ

エヴァン・パーカー『Electroacoustic Quartet / Concert in Iwaki』(Uchimizu Records、2000年録音)を聴く。

Evan Parker (ss)
Paul Lytton (perc, live electronics)
Joel Ryan (computer music instruments)
Lawrence Casserley (signal processing instrument)

このいわき市における録音が2000年10月5日。わたしは前々日の3日に新宿ピットインで同メンバーでのライヴを観ているが、エヴァン・パーカーの音以外はよくわからず覚えていない。エレクトロアコースティック・アンサンブルによる『Toward the Margins』がECMからリリースされたのが1997年のことであり、別メンバーであっても電気サウンドとエヴァンとの共存があまりにも唐突で意外に感じられ、判断停止の棚に収納した人は多かったはずだ(当時、当惑の声があちこちから聞こえてきた)。おそらく自分の耳は3年経ってもそのフェーズに居たのだろう。

このCDを聴くと、音響を重視し、その中でエヴァンのソプラノを響かせるあり方がいまでも鮮烈な印象を与えてくれることに気が付く。いったいわたしは何を聴いていたのだろう。電子音の響き、パーカッションの打音、サックスの共鳴が同じ世界を共有し、そのインパクトを増幅しあい、ひたすら生々しいことに驚かされてしまう。もとより、そのことは「エレクトロアコースティック」という名前によって示されていたのだった。素晴らしい音源を出してくれたものだ。

ジャケットに使われた李禹煥の作品も良い。このコンサートツアーのコンセプトを仕掛けたという寺内久さんに、李禹煥は寺内さんのセレクトですかと訊いてみたところ、やはりそうだった。

●エヴァン・パーカー
シュリッペンバッハ・トリオ+高瀬アキ「冬の旅:日本編」@座・高円寺(2018年)
デイヴ・ホランド『Uncharted Territories』(2018年)
エヴァン・パーカー@稲毛Candy(2016年)
エヴァン・パーカー+高橋悠治@ホール・エッグファーム(2016年)
エヴァン・パーカー@スーパーデラックス(2016年)
エヴァン・パーカー、イクエ・モリ、シルヴィー・クルボアジェ、マーク・フェルドマン@Roulette(2015年)
Rocket Science変形版@The Stone(2015年)
エヴァン・パーカー US Electro-Acoustic Ensemble@The Stone(2015年)
シルヴィー・クルボアジェ+マーク・フェルドマン+エヴァン・パーカー+イクエ・モリ『Miller's Tale』、エヴァン・パーカー+シルヴィー・クルボアジェ『Either Or End』(2015年)
エヴァン・パーカー+土取利行+ウィリアム・パーカー『The Flow of Spirit』(2015年)
エヴァン・パーカー+土取利行+ウィリアム・パーカー(超フリージャズコンサートツアー)@草月ホール(2015年)
マット・マネリ+エヴァン・パーカー+ルシアン・バン『Sounding Tears』(2014年)
エヴァン・パーカー ElectroAcoustic Septet『Seven』(2014年)
エヴァン・パーカー+ジョン・エドワーズ+クリス・コルサーノ『The Hurrah』(2014年)
ジョン・エスクリート『Sound, Space and Structures』(2013年)
『Rocket Science』(2012年)
ペーター・ブロッツマンの映像『Soldier of the Road』(2011年)
ブッチ・モリス『Possible Universe / Conduction 192』(2010年)
エヴァン・パーカー+オッキュン・リー+ピーター・エヴァンス『The Bleeding Edge』(2010年)
ハン・ベニンク『Hazentijd』(2009年)
アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ『ライヴ・イン・ベルリン』(2008年)
シュリッペンバッハ・トリオ『Gold is Where You Find It』(2008年)
エヴァン・パーカー+ノエル・アクショテ+ポール・ロジャース+マーク・サンダース『Somewhere Bi-Lingual』、『Paris 1997』(1997年)
エヴァン・パーカー+ネッド・ローゼンバーグ『Monkey Puzzle』(1997年)
エヴァン・パーカー+吉沢元治『Two Chaps』(1996年)
サインホ・ナムチラックとサックスとのデュオ(1992-96年)
ペーター・コヴァルトのソロ、デュオ(1981-98年)
スティーヴ・レイシー+エヴァン・パーカー『Chirps』(1985年)
エヴァン・パーカー『残像』(1982年)
デレク・ベイリー+ハン・ベニンク+エヴァン・パーカー『Topographie Parisienne』(1981年)
シュリッペンバッハ・トリオ『Detto Fra Di Noi / Live in Pisa 1981』(1981年)
カンパニー『Fables』(1980年)
『Groups in Front of People』の2枚(1978-79年)
エヴァン・パーカー『saxophone solos』(1975年)
シュリッペンバッハ・トリオ『First Recordings』(1972年)


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