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Sightsong

自縄自縛日記

松丸契+山本達久@公園通りクラシックス

2021-04-25 12:32:05 | アヴァンギャルド・ジャズ

渋谷の公園通りクラシックス(2021/4/24)。

Kei Matsumaru 松丸契 (as, etc.)
Tatsuhisa Yamamoto 山本達久 (ds, etc.)

松丸ソロ。これまで氏が行ってきた独奏シリーズの一環と言うこともできる。サックスの管の響きそのものに焦点を当てた鳴らし方(音がオーバルのように広がっていく)から、フレーズのさまざまな展開を経て、ドラムセットに向かって吹き楽器を共鳴させた。同様にピアノを共鳴させたことがあって、それは音色が異質であるとともに響きを制御できるペダルがあったからこそのサウンドだった。今回はバスドラの共鳴がドローンのような効果をあげていた。やがて山本さんがエフェクト音を付加し始めると、松丸さんは会場全体での響きとの共演とばかりに壁のほうに歩いていった。

山本ソロ。いくつものシンバルの擦りによる高周波音を作り出し、それを取り込んでサウンドとして重ね合わせてゆく。この音が大きくなり、あるリミッターを超えるように思えたあたりから、山本さん独特の揺らぐ高速パルスを繰り出してきた。松丸さんもやはり入ってきてアルトを吹いたのだが、それまでの山本サウンドに足すべきものとして同じ音の繰り返しを選んでいたことがおもしろく思えた。

デュオ。エフェクトと生パルスと加工パルス、重力を持ったブロウとエフェクトとの相乗効果は聴く者を麻痺させるものでもあり、少し呆とさせられた。

Fuji X-E2、7Artisans 12mmF2.8、XF60mmF2.4

●松丸契
内橋和久+松丸契@千駄木Bar Isshee(2020年)
松丸契@下北沢No Room for Squares(JazzTokyo)(2020年)
松丸契@東池袋KAKULULU(2020年)
瀬尾高志+松丸契+竹村一哲+高橋佑成@公園通りクラシックス(2020年)
松丸契+永武幹子+マーティ・ホロベック@なってるハウス(JazzTokyo)(2020年)
松丸契@下北沢No Room For Squares(2020年)
松丸契+片倉真由子@小岩コチ(2020年)
細井徳太郎+松丸契@東北沢OTOOTO(2019年)
松丸契『THINKKAISM』(2019年)
纐纈雅代+松丸契+落合康介+林頼我@荻窪ベルベットサン(2019年)
m°Fe-y@中野Sweet Rain(2019年)
SMTK@下北沢Apollo(2019年)

●山本達久
山本達久+纐纈雅代@なってるハウス(JazzTokyo)(2021年)
中村としまる+山本達久+坂口光央@新宿ピットイン(2020年)
キム・ミール+クリスチャン・ヴァルムルー+ジョー・タリア+山本達久@七針(2019年)
ジョー・モリス@スーパーデラックス(2015年)


モンドリアン展@SOMPO美術館

2021-04-25 10:52:41 | アート・映画

コロナ禍でSOMPO美術館もお休みに入ってしまうと気づき、あわてて「モンドリアン展」を観てきた。

やっぱり眼が悦ぶ。あらためて認識したことは、代表的なコンポジションの作品群がたんに構成主義的なものではなくトポロジー的でもあったこと。それは分割要素から成るものではない(だから生活美を追求したオランダのデ・ステイル運動から離脱した)。

またモンドリアンは静的とみなされるのを嫌った。1937年の「線と色のコンポジション:III」に二重線が導入されているのは、ジャズからインスパイアされて動的な性格を持たせようとしたためだという。テオドール・アドルノがジャズについて「演奏(interpretation)の一マニール」と否定的に書いたのが1936年(『プリズメン』、1955年)。その後ビバップが登場し、アドルノのジャズ論は無理解の典型として評価されるようになったけれど、アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハへのインタビューでもこのことが引用されていたし(2008年の動画)、いまもジャズや即興に対する言説の歴史として共有されている。ちなみにアンリ・マティスの軽やかな『ジャズ』は1947年。

開場にはヘリット・リートフェルトの椅子がいくつも展示されていて、それも嬉しい。デ・ステイルいいなあ。日本ではじめてデ・ステイルの大々的な展覧会が開かれたのは1998年頃で(池袋のセゾン美術館に観にいった)、すごく気持ちよかった記憶がある。図録がどこかにあるはずだし発掘しよう

SOMPO美術館は5月11日まで臨時休館だそうです。いい展覧会なので復活したらぜひ。