Sightsong

自縄自縛日記

アート・リンゼイ+ケン・ヴァンダーマーク+ジョー・マクフィー+フィル・サダーバーグ『Largest Afternoon』

2020-01-09 07:57:13 | アヴァンギャルド・ジャズ

アート・リンゼイ+ケン・ヴァンダーマーク+ジョー・マクフィー+フィル・サダーバーグ『Largest Afternoon』(Corbett vs. Dempsey、2019年)を聴く。

Arto Lindsay (g)
Joe McPhee (as, ts, pocket tp)
Ken Vandermark (ts, bs, cl)
Phil Sudderberg (ds)

アート・リンゼイがここまでフリー界隈にどっぷり浸かるのも久しぶりではないのかな。(2013年のポール・ニルセン・ラヴとのデュオはなかなか好きである。)

はじめはジョー・マクフィーの確信犯的な暴走が目立っていて、さてさてケン・ヴァンダーマークはと思っていると、やはり小さくなっているわけがないのだった。大きな船の上で悠然と大きなうねりのテナーを繰り出すところなんてさすがである。リンゼイは昼寝でもしているのか他のことを考えているのか、しかしときどき火が点いたように飛び込んでくる。どうやっても変わりようのない人たちの音楽。

先日ケンさんが来日したときに、アメリカで凄い新顔といえば誰だろうと訊くと、フィル・サダーバーグだと答えた。名前を聴くのもはじめてだったし、音源を耳にするのもこの盤がはじめてだ。予想に反して、現代ジャズの緻密に構成されたサウンドとはまったく違っていて、まるで全身を使って舞踏を繰り広げるがごときドラミングである。太鼓のたわみも、大きな勢いの中でのシンバルワークやバスドラ連打も、映像ではないのに身体表現を感じさせる。写真で見る限りではミルフォード・グレイヴスみたい、ではなく、都会人的にすらっとしている。実際のプレイを観てみたい。

そういえばケンさん、ポールさんとギグ後にCandyでレコードを次々に聴きながらあれこれ話していると、ジョー・マクフィーがポールさんとのデュオのときCandyのトイレで吹いた話になり(確か、プレイ中に本人の鞄の中でアラームが鳴り始め、それで一緒にトイレに入ったのだった)、その勢いでスマホでジョーさんとヴィデオチャットが始まった。アメリカで画面を見つめるジョーさんの表情に笑ってしまった。この録音のことを知っていればまた別の話にもなったのに。

●アート・リンゼイ
アート・リンゼイ+グスタヴォ・ヂ・ダルヴァ@ホイットニー美術館(2017年)

●ケン・ヴァンダーマーク
ケン・ヴァンダーマーク+ポール・ニルセン・ラヴ@稲毛Candy(2日目)(2019年)
ケン・ヴァンダーマーク+ポール・ニルセン・ラヴ@稲毛Candy(2019年)
ネイト・ウーリー+ケン・ヴァンダーマーク『East by Northwest』、『All Directions Home』(2015年)
ポール・ニルセン・ラヴ+ケン・ヴァンダーマーク@新宿ピットイン(2011年)
ペーター・ブロッツマンの映像『Concert for Fukushima / Wels 2011』(2011年)
ペーター・ブロッツマンの映像『Soldier of the Road』(2011年)
4 Corners『Alive in Lisbon』(2007年)
スクール・デイズ『In Our Times』(2001年)
ポール・リットン+ケン・ヴァンダーマーク『English Suites』(1999年)
ジョー・モリス w/ DKVトリオ『deep telling』(1998年)

●ジョー・マクフィー
ジョー・マクフィー+パスカル・ニゲンケンペル+ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ『Imaginary Numbers』(2015年)
ジョー・マクフィー+インゲブリグト・ホーケル・フラーテン『Bricktop』(2015年)
ユニヴァーサル・インディアンス w/ ジョー・マクフィー『Skullduggery』(2014年)
ジョー・マクフィー+ポール・ニルセン・ラヴ@稲毛Candy(2013年)
ジョー・マクフィー『Sonic Elements』(2012年)
ロドリゴ・アマド『This Is Our Language』(2012年)
ペーター・ブロッツマンの映像『Concert for Fukushima / Wels 2011』(2011年)
ジョー・マクフィーとポール・ニルセン-ラヴとのデュオ、『明日が今日来た』(2009年)
『Tribute to Albert Ayler / Live at the Dynamo』(2008年)
ジョー・マクフィーの映像『列車と河:音楽の旅』(2007年)
ウィリアム・パーカー、オルイェミ・トーマス、ジョー・マクフィーら『Spiritworld』(2005年)
Vision Festivalの映像『Vision Vol.3』(2003年)