Sightsong

自縄自縛日記

4 Corners『Alive in Lisbon』

2011-06-12 14:44:09 | アヴァンギャルド・ジャズ

ケン・ヴァンダーマーク(リード)、アダム・レーン(ベース)という米国勢と、ポール・ニルセン-ラヴ(ドラムス)、マグヌス・ブルー(トランペット)という北欧勢との顔合わせによるバンド、「4 Corners」によるライヴ映像、『Alive in Lisbon』(clean feed)を観る。なおPALフォーマットゆえ通常のDVDプレイヤーでは観ることができない。

爆発的な「Alfama」(ジョルジュ・ブラックに捧げられた曲)から始まる演奏、静かで緊張感のある曲もあり、飽きさせない。2回続けて味わってしまった。ヴァンダーマークは3曲でバスクラを吹き、それも悪くないのだが、何しろライヴの白眉は4曲目の「Tomorrow Now」だろう。ここではヴァンダーマークはバリトンサックスを吹き、そのエネルギーと音の拡がりは凄い。レーンは、ベース・ソロになるや、まるで電子音のノイズであるかのような高音をアルコで表現し、これにも驚かされてしまう。この曲はレスター・ボウイに捧げられたもので、悦びとともに発散する音色と気分は、確かにボウイだ。また、2曲目「Spin with the EARth」でのヴァンダーマークのクラリネット・ソロも壊れそうで愉しい。

ユニット名の通り、4つの極が感応し合い、激しい放電があったと思えば通常の電磁場に戻るグルーヴ感覚が良い。ヴァンダーマークについては、フレッド・アンダーソンとの共演や他の記録にいままでピンとこないところがあって避けていたのだが、これならば他の作品を聴いてもよさそうだ。

ドラムスのポール・ニルセン-ラヴは、恐らくライヴを体感すれば良さがもっとわかるんだろうな、という感覚はあるが、まだ何なのか掴みかねている(何度も来日しているのに、まだ実際の演奏に立ち会ったことがないのだ)。横井一江『アヴァンギャルド・ジャズ ヨーロッパ・フリーの軌跡』においても、「欧州の前衛達のスピリットを引き継ぎつつ、現代的にグルーヴさせるバンド」の中で、「最も注目すべき存在」であると位置付けている。

●参照 
ジョー・マクフィーとポール・ニルセン-ラヴとのデュオ、『明日が今日来た』


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