Sightsong

自縄自縛日記

『ダムタイプ|アクション+リフレクション』@東京都現代美術館

2020-01-04 09:19:18 | アート・映画

東京都現代美術館にて、ダムタイプの個展。

会場に入っていきなり目にするものは「PlayBack」と題されたたくさんのターンテーブルだ。各々に白い半透明のレコード盤が乗せられており、自動的に針が落とされ、光が点灯し、またもとに戻る。しかし音はそのパターンと整合して出ているのかどうか判然としない。どこから聴こえるのかさえはっきりしない。

展示の後ろの方で、古い「PlayBack」の映像が流されており、作品の完成度がかなり高まったことがわかる。当初作品がシグナリングのあやうさに焦点をあてていたのだとすると、今回の展示作品は、プロセシングのあやうさ、あるいは認知のすり替えに踏み込んでいるように思える。すなわち、こちらは認知しているつもりでいて、目の前の動くものに投影していただけなのだった。あるいは単なるフェティシズムに近いものに過ぎない。

「MEMORANDUM OR VOYAGE」においては、大きな画面上の小さな光の点にしか視えないものが、近くで凝視すると、<Drop Me>だとか<At Once>だとかいった言葉だと気付く。そしてそれにより、すべての言葉は呪いに他ならないと感じさせてくれる。

そのような抽出、また、シグナリング。「pH」のスキャニング、「PlayBack」のプロセシング。脳のある部分に信号を送ることによる認知のどこまでが脳の誤作動かどうかわからなくなってくるおもしろさがあった。