『Tribute to Albert Ayler / Live at the Dynamo』(Merge、2008年)を聴く。
その名前の通り、アルバート・アイラーに捧げられた演奏である。
Roy Campbell (tp, pocket-tp, bamboo-fl, recorder, vo)
Joe McPhee (ts, pocket-tp, vo)
William Parker (b, vo)
Warren Smith (ds, perc, vo)
喉の震え、骨や肉の震え、感情の昂りの発露といったものを表出する肉声を、サックスの音に引き寄せた音楽家が、アイラーだった、と、わたしは思いこんでいる。
ここで演奏するジョー・マクフィーも、そのようなアイラーの音にやられてしまった経緯があるようだ。インタビューによると、8歳から28歳まで(!)、トランペットだけを演奏していたのだという。それが、今では、むしろサックスプレイヤーとしての面が目立っている。今年1月に来日したときの演奏には、感極まってしまった。
勿論、アイラーの音を真似するような存在ではない。彼のテナーの音は、朗々とブルージーに鳴る。
この演奏は、おそらくロイ・キャンベルの「Music is the healing power of the universe ...」という言葉からはじまる。やがてマクフィーのテナーが入り、ウィリアム・パーカーのベースが入ってくる。
それにしても、パーカーのベースはやはり素晴らしい。2曲目の底知れぬ悦びのようなイントロから驚かされてしまう。
●参照
○ジョー・マクフィー+ポール・ニルセン・ラヴ@稲毛Candy
○ウィリアム・パーカー+オルイェミ・トーマス+リサ・ソコロフ+ジョー・マクフィー+ジェフ・シュランガー『Spiritworld』
○ジョー・マクフィーの映像『列車と河:音楽の旅』
○ジョー・マクフィーとポール・ニルセン・ラヴとのデュオ、『明日が今日来た』
○ダニエル・カーター『The Dream』、ウィリアム・パーカー『Fractured Dimensions』
○ウィリアム・パーカー『Luc's Lantern』
○ウィリアム・パーカーのベースの多様な色
○ウィリアム・パーカーのカーティス・メイフィールド集
○ジョー・ヘンダーソン+KANKAWA『JAZZ TIME II』、ウィリアム・パーカー『Uncle Joe's Spirit House』 オルガン+サックスでも随分違う
○ブラクストン、グレイヴス、パーカー『Beyond Quantum』
○エバ・ヤーン『Rising Tones Cross』(ウィリアム・パーカーが語る)
○ESPの映像、『INSIDE OUT IN THE OPEN』(ウィリアム・パーカーが語る)
○セシル・テイラー『In Florescence』(ウィリアム・パーカー参加)
○サインホ・ナムチラックの映像(ウィリアム・パーカー参加)
○ペーター・ブロッツマン(ウィリアム・パーカー参加)
○セシル・テイラーのブラックセイントとソウルノートの5枚組ボックスセット(ウィリアム・パーカー参加)