Sightsong

自縄自縛日記

ビル・エヴァンス『The Complete Village Vanguard Recordings, 1961』

2013-03-02 23:58:18 | アヴァンギャルド・ジャズ

Bill Evans (p)
Scott LaFaro (b)
Paul Motian (ds)

1961年6月25日、ヴィレッジ・ヴァンガードにおける、あまりにも有名なセッション。『Waltz for Debby』『Sunday at the Village Vanguard』という、Riversideの2枚として別々に出されていたが、このCD 3枚組は、録音をすべて順番に並べたものである(午後のセット2回、夜のセット3回分)。

その2枚は何度も何度も聴いたものだが、こうして順番に聴いてみると、いろいろな発見がある。少なくとも、『Waltz for Debby』において受けるような、「My Romance」と「Waltz for Debby」が中心のセッションではない。

ビル・エヴァンスのあやうい和音、ポール・モチアンの伸び縮みするドラムスは、当然素晴らしい。しかし、それにも増して、スコット・ラファロの過激に自由なベースの凄さ。

特に、夜の3回目のセットにおいて、2曲目の前にベースを弄び、とてもテンションが高くなっていると思える後の「Gloria's Step」(テイク3)は、アンバランスなほどベースが暴れ、圧倒される。終わった後も、興奮冷めやらぬ雰囲気が伝わってくる。演奏の間の音も、貴重なドキュメントとなっているわけである。


『Waltz for Debby』

●参照
『Stan Getz & Bill Evans』
ゴンサロ・ルバルカバ+チャーリー・ヘイデン+ポール・モチアン
キース・ジャレットのインパルス盤(モチアン参加)
70年代のキース・ジャレットの映像(モチアン参加)


スティーヴィー・ワンダーとメイシー・グレイの『Talking Book』

2013-03-02 18:51:42 | ポップス

スティーヴィー・ワンダー『Talking Book』(Tamla、1972年)。恥ずかしながら聴くのは初めて。

冒頭曲の「You are the Sunshine of My Life」がいい(これだけは知っている)。奇妙なイントロからはじまって、"You are the sunshine of my life / That's why I'll always be around / You are the apple of my eye / Forever you'll stay in my heart" なんて泣けてしまうな。

他の曲もラヴソングばかり、スティーヴィーの高い声は絶好調。いやカッコいい。「Tuesday Heartbreak」では、デイヴィッド・サンボーンがアルトサックスを吹くが、さすがの存在感。

なぜ思いだしたかのようにスティーヴィーを聴いたかというと、飛行機の中で、メイシー・グレイ『Talking Book』(Columbia、2012年)を聴いたからである。オリジナルから40年を経ての完全カヴァー盤。やはり、冒頭の「You are the Sunshine of My Life」に、痺れてしまった。帰国後早々にCDを買った。

こうして聴き比べてみると、それぞれ味があって良い。メイシーの方は、ハスキーというレベル以上のかすれ声。「You are ...」では可愛く唄い、スティーヴィーと違って、"... of my life" のあとに、いちいち、"yeah" と付けるのだが、これがまた可愛い。

この名曲は、どうやら数多くの歌手にカヴァーされている模様だ(>> リンク)。メイシー同様にかすれ声のアニタ・オデイのヴァージョンなんて聴いてみたいな。

「Tuesday Heartbreak」では、オリジナルと違い、トランペットが参加していた。サンボーンと比較されたのでは分が悪いし、正解か。

●参照
スティーヴィー・ワンダー『キー・オブ・ライフ』と最近のライヴ


『Tribute to Albert Ayler / Live at the Dynamo』

2013-03-02 12:46:50 | アヴァンギャルド・ジャズ

『Tribute to Albert Ayler / Live at the Dynamo』(Merge、2008年)を聴く。

その名前の通り、アルバート・アイラーに捧げられた演奏である。

Roy Campbell (tp, pocket-tp, bamboo-fl, recorder, vo)
Joe McPhee (ts, pocket-tp, vo)
William Parker (b, vo)
Warren Smith (ds, perc, vo)

喉の震え、骨や肉の震え、感情の昂りの発露といったものを表出する肉声を、サックスの音に引き寄せた音楽家が、アイラーだった、と、わたしは思いこんでいる。

ここで演奏するジョー・マクフィーも、そのようなアイラーの音にやられてしまった経緯があるようだ。インタビューによると、8歳から28歳まで(!)、トランペットだけを演奏していたのだという。それが、今では、むしろサックスプレイヤーとしての面が目立っている。今年1月に来日したときの演奏には、感極まってしまった。

勿論、アイラーの音を真似するような存在ではない。彼のテナーの音は、朗々とブルージーに鳴る。

この演奏は、おそらくロイ・キャンベルの「Music is the healing power of the universe ...」という言葉からはじまる。やがてマクフィーのテナーが入り、ウィリアム・パーカーのベースが入ってくる。

それにしても、パーカーのベースはやはり素晴らしい。2曲目の底知れぬ悦びのようなイントロから驚かされてしまう。

●参照
ジョー・マクフィー+ポール・ニルセン・ラヴ@稲毛Candy
ウィリアム・パーカー+オルイェミ・トーマス+リサ・ソコロフ+ジョー・マクフィー+ジェフ・シュランガー『Spiritworld』
ジョー・マクフィーの映像『列車と河:音楽の旅』
ジョー・マクフィーとポール・ニルセン・ラヴとのデュオ、『明日が今日来た』
ダニエル・カーター『The Dream』、ウィリアム・パーカー『Fractured Dimensions』
ウィリアム・パーカー『Luc's Lantern』
ウィリアム・パーカーのベースの多様な色
ウィリアム・パーカーのカーティス・メイフィールド集
ジョー・ヘンダーソン+KANKAWA『JAZZ TIME II』、ウィリアム・パーカー『Uncle Joe's Spirit House』 オルガン+サックスでも随分違う
ブラクストン、グレイヴス、パーカー『Beyond Quantum』
エバ・ヤーン『Rising Tones Cross』(ウィリアム・パーカーが語る)
ESPの映像、『INSIDE OUT IN THE OPEN』(ウィリアム・パーカーが語る)
セシル・テイラー『In Florescence』(ウィリアム・パーカー参加)
サインホ・ナムチラックの映像(ウィリアム・パーカー参加)
ペーター・ブロッツマン(ウィリアム・パーカー参加)
セシル・テイラーのブラックセイントとソウルノートの5枚組ボックスセット(ウィリアム・パーカー参加)