鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」

渡辺崋山や中江兆民を中心に、幕末・明治の日本を旅行記や古写真、研究書などをもとにして歩き、その取材旅行の報告を行います。

2014.夏の取材旅行「青森~竜飛~十三~鰺ヶ沢」 その最終回

2014-09-23 07:14:15 | Weblog
『北前船と津軽西浜』所収の「海運がもたらした北陸文化-笏谷石とその周辺-」(石山晃子)によれば、白八幡宮の本殿に上っていく石段は笏谷石(しゃくだにいし)製であるとのこと。幅は一尺、厚さは三寸以上あるという。石山さんによると、町奉行所跡の近くでも笏谷石製の敷石を見つけたとのこと。この笏谷石というのは、福井県福井市足羽山(あすわやま)北西地域で採掘された火山礫凝灰岩。軟質できめが細かく、加工が容易なため、石塔、石仏、狛犬、鳥居、墓石などあらゆるものに加工され、幅広く用いられた石材で、良質のものは濡れると青味を帯びるという。長四角に切り出されたものが石積船に積み込まれ、足羽川から九頭竜川へと運ばれ、九頭竜川河口にある三国湊から全国各地に船で運ばれました。石山さんは、海運業・廻船業にたずさわる人々が、各々のゆかりの寄港地の社寺に、福井城下や三国湊で買い求めた笏谷石の狛犬などを奉納し、航海の安全や商売繁盛を願ったものだろうと推測されています。白八幡宮の笏谷石製の石段も、三国湊から北前船に積み込まれてわざわざ鰺ヶ沢湊まで運ばれてきたものであり、石山さんは、笏谷石は「北陸地方と津軽地方の人と物の流れをより具体的に教えてくれる絶好の歴史資料である」と結論付けています。 . . . 本文を読む