うてん通の可笑白草紙

江戸時代。日本語にはこんな素敵な表現が合った。知らなかった言葉や切ない思いが満載の時代小説です。

むこうだんばら亭

2014年10月14日 | ほか作家、アンソロジーなど
乙川優三郎

 2005年3月発行

 江戸での暮しに絶望し、銚子へ流れ着いた孝助とたかが営む酒亭 「いなさ屋」に集う市井の男女を描く連作短編集。

行き暮れて
散り花
希望
男波女波
旅の陽射し
古い風
磯笛
果ての海 計8編の連作短編集

行き暮れて
 13歳で越後から江戸の岡場所に、17歳で銚子へと売られてきた老女の半生と故郷への郷愁。

散り花
 一家を支える貧窮に耐え兼ね、身を売る少女・すが。

希望
 女郎として半生を送ったきちが、友造と出会い、本当の愛を知る。

男波女波
 他界した女房の秘密を知ってしまった佐多蔵は、子と生き別れたゆうと出会い、過去の呪縛から解き放される。

旅の陽射し
 夫である医師・意伯に、昔の不貞を打ち明けられた万は心穏やかではない。だが、医師として立ち直った夫との絆を深めていく。

古い風
 夫の暴力により離縁し、点々とした末に綿縮の機織りを始めたあさに良縁が舞い込むが、己の過去から抜け出せすことができなかった。

磯笛
 己の過失が元で女房、子どもを失った船頭の島蔵。大海原の果てから己を呼び女房と子どもの声を聞く。

果ての海
 娘・ぬいの身売り話に心を痛めるたか。孝助は、昔は芸妓であり現在三弦指南のかのを訪れ、その厳しい半生を聞き、ある決断をする。

 海辺の町・銚子で生きる市井の人々の悲喜こもごもを切なくそして哀愁を込めて描いた作品集。
 胸にジーンと響く一冊。

主要登場人物
 いなさ屋孝助...銚子の酒亭・桂庵の主
 たか...元宿場女郎






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