うてん通の可笑白草紙

江戸時代。日本語にはこんな素敵な表現が合った。知らなかった言葉や切ない思いが満載の時代小説です。

ひとめぼれ

2017年04月30日 | 畠中恵
 2017年4月発行

 お気楽な、名主の跡取り麻之助と、家督を継いで名主となった清十郎。そして八丁堀見習同心の吉五郎。3人の悪友たちが繰り広げる人情物語「まんまこと」シリーズ第6弾。

わかれみち
昔の約束あり
言祝(ことほ)ぎ
黒煙
心の底
ひとめぼれ 計6編の短編連作

わかれみち
 お由有にひどい仕打ちをした、幸太の父親である横平屋の達三郎が何喰わぬ顔で江戸に舞い戻ったと知り、お由有の実父・札差しの大倉屋は、横平屋の取り潰しを画策する。その鮮やかな手管を目の当たりにしたばかりの麻之助たちに、今度は定町廻り同心・山本家に養子に入った又八郎が、襲われる事件に関わってしまった。
 そもそも又八郎は町家の出であり、実家の酒屋・高須屋の出見世を任されていたが、甲斐性がなく潰してしまったのだった。その当時の奉公人たちの恨みからではあるが、麻之助は裏で糸を引く存在に気付き…。

昔の約束あり
 相馬吉五郎は、両国橋西詰にて衆人観衆の下、「千里眼の予言で相馬家と縁を結ぶ者である」と、仏具屋・東国屋の娘・お蝶に詰め寄られる。
 元より養子である吉五郎には、身に覚えがないばかりか、居合わせた麻之助もその内容も腑に落ちない。事情を義父・小十郎告げるも、一蹴するのだが、気になるのは、相馬家の娘で吉五郎の許嫁の一葉である。
 麻之助たちの制止を聞かずに、お安、お虎と共に東国屋を訪なうが、そのまま足取りが消えてしまった。
 麻之助たちは、三人の行方を追ううちに、お蝶には、小普請組世話役の多村との縁組の話があると知るのだった。
 
言祝ぎ
 吉五郎の姪・おこ乃に三つもの縁談が持ち込まれた。大名家の陪臣で、200石の頼町の娘の縁談とあっては、慎重にならざるを得ない。
 そしてどの縁も、どこかが引っ掛かる、吉五郎の養父・相馬小十郎は、麻之助に、3人の調べを依頼する。麻之助は金貸しの丸三、両国の顔役の貞吉と共に、おこ乃にとっての良縁を探り出した。

黒煙
 支配町で火事が起きた。たまたま居合わせた麻之助は。逃げ遅れた者がいないか見回る中、泣いている双子の子どもを無事保護した。それは、唐物屋・菊屋仙十郎の子どもであったが、何故に子どもだけが取り残されたのかと、訝しがる仙十郎。
 一方、八木家の支配町では、火事騒動の最中に、小間物屋・丸太屋から螺鈿細工の櫛が失せ、それが扇屋・紅屋の娘・おかやの仕業ではないかと、ひと悶着。
 双方の、腑に落ちない点を繋ぐと、ひとつの答えが…。

心の底
 定廻り同心・相馬小十郎の頼みで、麻之助は、商いの為、旅に出たきり行方知らずの、葉茶屋鳴海屋の二男・丈之助を探しに東海道を旅する運びとなっていた。
 同行は、丈之助の許嫁・料理屋花梅屋の隠居・お浜である。孫娘・お雪の縁組相手が行く方知らずとあって、我が目で確かめようとしていた。
 が、いつしか麻之助は、方々から土産を頼まれたり、許嫁のお雪までもが旅に同道すると言い出したり。
 そんな中、江戸で丈之助を見掛けたという話が伝わり…。

ひとめぼれ
 吉五郎の許嫁である養子先のひとり娘・一葉に、仏具屋の四男坊の春四郎が「同心になりたい。武士になりたい」と、近付いていた。
 春四郎の甘い顔立ちに、若い一葉は夢中になり、吉五郎は気が塞いでいた。
 だが、相馬家当主の小十郎は、跡取りは吉五郎とし、一葉は好いた相手に嫁がせると決断。一葉の思いと、春四郎の思惑が擦れ違う。

主要登場人物
 高橋麻之助...神田の古町名主宗右衛門の総領息子
 八木清十郎...隣町の町名主
 相馬吉五郎...北町奉行所見習同心
 高橋宗右衛門...神田の古名主、麻之助の父親
 故・野崎寿ず...麻之助の妻、吉五郎の遠縁
 お由有...清十郎の義母、故・源兵衛(清十郎の父親)の後妻
 幸太...お由有の実子、清十郎の義弟
 お安....清十郎の妻、町名主・甲村家の娘
 頼町おこ乃...吉五郎の姪、寿ずの又従姉妹の娘
 貞吉(両国の貞)...両国の顔役、物売り
 大貞....両国の顔役、貞吉の父親 
 丸三...神田の高利貸し
 お虎....丸三の妾
 相馬小十郎...北町奉行所定町廻り同心、吉五郎の義父
 相馬一葉...小十郎の娘、吉五郎の許嫁
 みけ(八木家)、とら(相馬家)、ふに(高橋家)...兄弟猫






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江戸を愛して愛されて

2017年01月29日 | ほか作家、アンソロジーなど
杉浦日向子

 2016年10月発行

 単行本未収録の、江戸に関するエッセイ集。全集に収められたまま読めなくなった漫画「横の細道」ほか、「呑々まんが」も全話完全収録。「新春・江戸之七景」など、イラストエッセイも多数収録した、貴重な一冊。

ぉいち 四季折々の江戸(吉原の初春/江戸の初春 ほか)
にぃ 江戸のアレコレ(江戸の女たち/江戸の、時間感覚・金銭感覚 ほか)
さん 旅ゆけば、江戸(旅ふたたび/甲賀お忍びの里右往左往 ほか)
しっ 粋で泰平(風流といふ話/粋の達人ー衣・食・住 ほか)
ごぉ! 漫画(ぶらり俳諧散歩まんが・横の細道/呑々まんが)

 江戸庶民の暮らしぶりが、学べる一冊。堅苦しくなく、読み易い。



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三鬼〜三島屋変調百物語四之続~

2017年01月15日 | 宮部みゆき
 2016年12月発行

 不幸な出来事で傷心のおちかは、叔父の袋物屋の三島屋伊兵衛に引き取られ、不幸な過去や不思議な出来事を体験した人たちの話に耳を傾ける。
 神田袋物屋三島屋の黒白の間で、明かされる不思議な話。「三島屋変調百物語事始」の第4弾。


第一話 迷いの旅籠

第二話 食客ひだる神

第三話 三鬼

第四話 おくらさま 計4編の短編連作

 冬に贈る怪談語り、変わり百物語。
 語り部の客は、村でただひとりお化けを見たという百姓の娘。夏場はそっくり休業する絶品の弁当屋。山陰の小藩の元江戸家老。心の時を14歳で止めた老婆の4人。
 それぞれに、亡者、憑き神、家の守り神、とあの世やあやかしとの出会いから、切ない話、怖い話、悲しい話を語る。
 それぞれの身の処し方に感じ入ったおちかの身にもやがて、心ゆれる出来事が…。

 引き込まれ、かなり厚みのある本もあっと言う間に読み終えたと同時に、宮部みゆき氏の巧さに、完全に宮部ワールドに魅せられてしまう。シリーズ最高傑作。

主要登場人物
 おちか...川崎宿旅籠丸千の娘
 三島屋伊兵衛...神田三島町袋物屋の主、おちかの叔父
 お民...伊兵衛の女房
 富次郎...伊兵衛、お民の二男
 八十助...三島屋の番頭
 おしま...三島屋の女中
 新太...三島屋の丁稚
 お勝...三島屋の女中
 瓢箪堂勘一...貸本屋の長男
 青野利一郎...本亀沢町・深考塾の師匠
 灯庵老人(蝦蟇仙人)...口入屋の主
 半吉(紅半纏の半吉・黒子の親分)...岡っ引き
 金田、捨松、良介...青野利一郎の教え子


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まことの華姫

2016年10月22日 | 畠中恵
 2016年9月発行

 人形遣いの月草と、姫様人形お華の迷コンビが江戸の事件を快刀乱麻!


まことの華姫
十人いた
西国からの客
夢買い
昔から来た死
終  短編連作

 江戸両国の見世物小屋では、人形遣いの芸人・月草と、相方の木偶の姫様人形・お華が大人気になっていた。
 その芸は、月草がひとり二役で、話芸を繰り広げるだけではなく、お華は、単なる人形ではなく。「まことの華姫」の異名を持つ程に、真実を言い当てると、もっぱらの評判を呼んでいた。
 なぜなら、お華の目は、真の井戸から真の井戸から引き上げられた、水を固めたような玉で創られていたのだ。

まことの華姫
 姉の死は、実の父が原因かもしれないと疑う、小屋一帯の地回りの娘・お夏。

十人いた
 七年前の大火事で幼な子を失い、諦めきれずに我が子を捜し続ける夫婦に、突然十人の子どもが名乗りを上げる。

西国からの客
 行方知れずとなった親友かつ義兄を捜しにはるばる西国からやってきた若旦那。

夢買い
 華姫が「真」を話すと聞き付け、それ盗み出そうとする者あり、安い木戸賃で小屋に入り、「真」を語らせようとする者あり。

昔から来た死
 火事で傷を負い人形師を続けられなくなったがために、添えなくなった元許嫁のお路が夫殺しの嫌疑が掛っていることを知った月草だったが。

 「うーむ」。どうにも畠中恵さん“らしからぬ”作品に感じた。結局お華(華姫)はただの木偶人形なのか…。
 釈然としない。個人的な独断ではあるが、ちょっと「違うかな」感が拭えず、物語に入り込めなかった。
 畠中氏は、ファンタジーを得意としているのだから、この作品もいっそ、華姫をファンタジー仕立てにしてくださった方が、分かり易かったような気がする。
 ただし、飽くまでも、個人的感想であって、嗜好の相違だろう。因に、畠中氏の作品で一番好きなシリーズは、「まんまこと」。作品としては、「こころげそう」である。

主要登場人物
 お華…真の井戸から引き上げた水を固めたような玉の目を持つ、木偶の姫様人形
 月草…腹話術の人形遣い(元は西国の人形師)
 山越…両国の地回りの頭、小屋主
 お夏…山越の娘



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若様とロマン

2016年10月21日 | 畠中恵
 2016年4月発行

 文明開化華やかし明治を舞台にした青春ストーリー。「アイスクリン強し」、「若様組まいる」に続くシリーズ第3弾。

園山・運動会
小山と小沼・川開き
加賀・百花園
長瀬・居留地
真次郎・亜米利加 計5編の短編連作

 平穏に過ぎていた明治の世に、不穏な空気が漂い始めていた。戦へと突き進みつつある一派の意向を押さえようと、成金のひとり小泉琢磨はこのままでは開戦派を押さえようと秘策を練る。
 それは、若様たちに縁組をし、開戦派に対抗する同士を増やそうというその魂胆。早々、若様たちの見合いを画策するが…。

 漸く、時間が取れ、読み終えました。若様それぞれが、小泉琢磨の政治力の為に、見合いをさせられる話で、一章毎に、各々が主役となる、同シリーズ初めての手法で描かれている。見合いひとつにおいても、相手の事情やシチュエーションなどが絡み、一筋縄ではいかないといった具合。
 そして、多分…大凡…。同シリーズはこれで終幕か、もしや、舞台や時代を移して第二幕の幕開けとなるのか…。いずれにしても、それぞれの人生の岐路を描いて筆を置いている。
 確か、第1弾の「アイスクリン強し」では、ミナこと、皆川真次郎が主役だった筈が、第2弾の「若様組まいる」では、若様たち(永瀬健吾・園山薫)が主役になり、今回は満遍なく主役のバトンを繋ぐといった、考え抜かれたシリーズだ。

主要登場人物
 永瀬健吾...巡査(若様組の頭/元二千石の若様)、ミナの幼馴染み
 福田春之助...巡査(若様組/元千石の若様)
 園山薫...巡査(若様組/元三千石の若様)
 小山孝...巡査(元三百石の若様)
 小沼武一...巡査(元五百石の若様)
 皆川真次郎(ミナ)...築地外国人居留地の西洋菓子店風琴屋の主
 小泉琢磨...小泉商会の主
 沙羅...琢磨の娘、女学生、ミナの幼馴染み









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おおあたり

2016年08月20日 | 畠中恵
 2016年7月発行

 大妖である皮衣を祖母に持つ事から、妖や付喪神が見えるが、滅法身体の弱い若旦那と、若旦那命の妖たちが織りなすファンタジー小説第15弾。


おおあたり
長崎屋の怪談
はてはて
あいしょう
暁を覚えず 計5編の短編連作

おおあたり
 一太郎の幼馴染み・栄吉の拵えた「辛あられ」が大当たり。その「辛あられ」は、栄吉の実家・三晴屋で制作し、長崎屋で販売すると、瞬く間に評判となったのだった。
 だが、そこから栄吉の許嫁・お千夜との祝言話やら、「辛あられ」の類似品やらで、一太郎始め長崎屋の面々も騒動に巻き込まれていく。

長崎屋の怪談
 真夏のある日、清涼のため長崎屋所有の一軒家で、本島亭場久の寄席を開くこととなった。場久の悪夢の怪談は大盛況で幕を下ろしたが、すぐに場久自身が、悪夢に追い掛けられていると感じるようになった。
 同時に、岡っ引きの才蔵の姿が消え失せ、嫌疑の目が日限の親分に向けられて…場久の噺のとおりの悪夢なのか、それとも…。長崎屋に集う妖たちが立ち上がる。

はてはて
 貧乏神の金次が、落とされた饅頭の代金の代わりに渡された、富籤が300両の大当たり。しかし、その富籤は、割り札で2枚のところが3枚持ち主がいた。一体誰の富籤が偽物なのか…。
 そんな最中、長崎屋に3人の女が、自分こそ富籤の賞金を手にするに相応しいと、分け前を要求。
 偶然手にした1枚の富籤が、とんだ大騒動へと。人間の依怗や欲を目の当たりにした時、金次は…。

あいしょう
 仁吉と佐助が、一太郎に仕えた時の初めて物語り。十歳の小僧に姿を代えて、長崎屋にやって来た仁吉と佐助。
 だが、顔合わせの直後に一太郎が忽然と消えていた。長崎屋に住う妖と共に、仁吉と佐助は、一太郎の追跡を始めるが、そこには、大店の子どもの勾引(かどわか)しに関わる事件の匂いが…。そして合羽まで現れて…。
 果たして人の仕業か、はたまた妖なのか、仁吉と佐助の意見は真っ二つに分かれる。

暁を覚えず
 釣りの接待に行くことになった一太郎の供に誰がなるか。妖たちは、美晴屋の饅頭に3個だけ栄吉の拵えた饅頭を混ぜておき、引き当てた者が釣りに出掛けるといった懸けを思い付くが、一太郎の異母兄・松之助が栄吉の拵えた饅頭を沢山携えて来たことから…。
 その松之助到来の目的は、ある悩み事の相談であった。

主要登場人物
 長崎屋一太郎...日本橋通町廻船問屋・薬種問屋長崎屋の若旦那
 仁吉(白沢)...妖、薬種問屋長崎屋の手代
 佐助(犬神)...妖、廻船問屋長崎屋の手代
 おたえ...一太郎の母親 
 長崎屋藤兵衛...一太郎の父親、長崎屋の主
 伊三郎...一太郎の祖父、皮衣(ぎん)の亭主
 皮衣(ぎん)...一太郎の祖母、妖
 屏風のぞき...付喪神
 鳴家(小鬼)...妖
 鈴彦姫...付喪神
 金次...貧乏神
 おしろ...猫又
 守狐...長崎屋の稲荷に住まう化け狐
 日限の親分(清七)...岡っ引き
 野寺坊...獺の妖
 美春屋栄吉...日本橋菓子屋の嫡男(安野屋で修行中)、一太郎の幼馴染み
 青玉屋松之助...日本橋小間物屋の主、一太郎の異母兄
 本島亭場久...貘の妖、噺家
 お千幸...万之助の妹




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歴史のなかの家族と結婚~ジェンダーの視点から~

2016年08月20日 | ほか作家、アンソロジーなど
服藤早苗/監修 伊集院葉子・栗山圭子・長島淳子・石崎昇子・浅野富美枝/著

 2011年4月発行

 男女の出会いと結婚、家と家族の営み、育児や老いの問題など、家族と結婚の日本史をたどった家族のあり方の歴史と現在。

第1章 古代 共同体に育まれる家族(伊集院葉子)
恋イコール結婚の時代 母の許しと共同体の承認 通い婚から同居へ 離婚 性への女の拒否権 家父長制の未成立と双系的・両属的社会 里刀自、家刀自の指 揮下での共同労働 経営手腕を振った富豪の刀自たち 命がけの出産と多産報奨 父の育児と男子教育 共同体の老人扶養慣行 百姓の葬地、貴族の営墓

第2章 中世 「家」成立の時代(栗山圭子)
当事者同士の結婚から親の決める結婚へ 婿取婚から嫁取婚へ 不均衡な男女関係 夫による離婚権の把握 強姦の発生 遊女の性格変化 男色 白拍子から猿楽能へ 「家」の成立 「家」の経営と相続 家長と家妻の共同経営 生まれる子ども・死ぬ子ども 子どもの成長と養育 「家」と老人 別墓から同墓へ 家族を持てなかった人々

第3章 近世 嫁入り婚と小家族の展開(長島淳子)
身分によるさまざまな結婚のかたち 結婚の過程と嫁入り婚の儀式 身分・階層差による夫婦関係 離婚の実態と縁切寺 村の若者による娘・後家の性支配 遊 廓の成立と私娼 江戸の同性愛と異性装者 近世家族の歴史的位置 階層差による経営形態の諸相 農家の性別役割分業 出産の習俗と堕胎・間引き 育児と公 的支援制度 老人の位置と養生訓 葬送儀礼と墓参 シングルとして生きる

第4章 近代 都市家庭の形成と結婚観の変化(石崎昇子)
恋愛の自由・結婚の自由 神前結婚式の始まり 性の二重規範 少なくなる離婚 公娼制批判の始まり 戦争と軍「慰安所」 同性の恋愛を生きる 明治維新と 明治民法 夫婦中心の都市家庭の形成 良妻賢母規範の誕生と変容 「産児制限」の誕生 仕事と育児の両立への提言 老後の保障は社会権 少なかった単身者  明治民法改正の試み

第5章 現代 多様化する家族と結婚のかたち(浅野富美枝)
個人の権利となった結婚の自由 多様化する結婚式 問われる夫婦のきずな 変わる離婚 後を絶たない性暴力6 深刻化する性の商品化 多様な性愛 変わる 制度としての家族 日本経済を支える家族 性別役割家族の確立とゆらぎ 生殖をめぐるポリティクス 少子化のなかの子育て 高齢社会と高齢者 変わる葬送 と墓 増える単身者と家族のゆくえ




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新選組日記〜永倉新八日記・島田魁日記を読む〜

2016年07月28日 | 新撰組関連
木村幸比古

 2003年6月発行

 明治まで生き残った創成期からの幹部・永倉新八の手記「浪士文久報国記事」と、副長・土方歳三の信頼が厚く、永倉と行動をともにしていた島田魁の「島田魁日記」から、新選組の実像に迫る。
 その武勇を天下に轟かせた池田屋事件、長州藩との激戦に勝利した禁門の変、「朝敵」となり敗北した鳥羽伏見の戦い、新選組瓦解へ とつながった甲州勝沼の戦い、激しい砲撃戦に見舞われた会津戦争、奇襲作戦で挑んだ宮古湾海戦、そして土方歳三が最期を迎え、降伏を余儀なくされた五稜郭での戦い……。
 そして、永倉・島田には、近藤勇、土方歳三、沖田総司らの姿はどのように映っていたのか。「誠」を貫いた男たちの姿を克明に綴った行動録を木村幸比古氏が読み解く。



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新選組隊士烈伝〜幕末を駆け抜けた狼たちの人生

2016年07月22日 | 新撰組関連
双葉社スーパームック編

 2013年4月発行

 新選組結成150周年にあたり、知られざる「壬生狼」たちの素顔に迫る。
 最新研究で分かった近藤勇、土方歳三の意外な一面から、隊士の暮らし、生き残った隊士たちの証言、戊辰戦争と新選組の終焉までを。


第1章 故郷の同志と天然理心流
第2章 新選組結成と京の暮らし
第3章 戊辰戦争と新選組の終焉
第4章 新選組をひもとくキーワード
気になる隊士チェック

 分かり易いです。何より位置関係の地図が嬉しかった。CGでの見取り図も興味深く、写真や図なども織り交ぜた、珠玉の一冊。これは持っていて損は無いでしょう。


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幕末下級武士の絵日記〜その暮らしと住まいの風景を読む〜

2016年07月18日 | ほか作家、アンソロジーなど
大岡敏昭

 2007年5月発行

 幕末の暮らしを忍藩の下級武士が描いた「石城日記」。
 家族や友人、寺の和尚や料亭の女将たちと仲睦まじく交わり、書を読んで歌を唄い、食や酒を大いに楽しむ。家族団樂、褌一丁での読書、素人歌舞伎などの描写は、飄々とした作者の人柄がにじみ出ており、思わず吹き出すような滑稽味にも溢れている。封建的で厳格な武士社会のイメージを覆し、貧しくも心豊かな人生を謳歌した下級武士たちの、真の日常生活がわかる貴重な記録。

1章 石城の一週間
2章 石城たちが暮らした城下町
3章 自宅の風景
4章 友人宅の風景
5章 中下級武士の住まい
6章 寺の風景
7章 料亭の風景
8章 世相と時代
9章 ふたたび自宅の風景



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レンズが撮らえた〜日本人カメラマンの見た幕末明治〜

2016年07月18日 | ほか作家、アンソロジーなど
監修/小沢健志 編集/高橋則英

 2015年5月発行

 写真術の草創期、欧米の近代科学導入に積極的な各藩と蘭学者たちによる研究と実験の成果によってもたらされた肖像写真中心を中心に、貴重な古写真で見る幕末明治。

カラー特集 写真で見る幕末明治
●幕末明治の日本の写真師たち
 幕末諸藩の写真研究
 殿様が撮った幕末明治
 甦る幕末の長崎
 熊本の写真師・冨重利平
 横浜の写真師たち
 外国人がお土産にした横浜写真
 江戸・東京の写真師たち
 明治の写真心得事情
 小川一眞による文化財調査写真と美術出版物
 明治の裸婦は惑わせる
 雲をも凌ぐ展画
 北海道開拓写真
●主な写真
梅の花を活ける女性/侍姿の役者/公家姿の役者たち/雪の日の外出姿の女性/庭園と二人の女性/亀戸天神の藤棚/日本初のヌードポスター/笊味噌漉売り/玩具屋/田子の浦からの富士を望む/老夫婦/松子と高杉晋作の遺児・東一/関取と太刀持ち



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レンズが撮らえた〜幕末明治日本の風景〜

2016年07月18日 | ほか作家、アンソロジーなど
小沢健志・山本光正著

 2014年5月発行

 日本の初期写真にによって蘇る、当時の風景。

カラー特集 幕末・明治の街道を往く
日本の町並みと風景を見る 江戸時代の街道と旅
●東海道の町並みと風景
東京都/神奈川県/静岡県/愛知県/三重県/滋賀県/京都府 ほか
●関東・甲信の町並みと風景
東京都/埼玉県/千葉県/茨城県/栃木県/群馬県/山梨県/長野県 ほか
●北陸・中部の町並みと風景
福井県/石川県/富山県/新潟県/岐阜県 ほか
●近畿の町並みと風景
大阪府/奈良県/和歌山県/兵庫県 ほか
●中国の町並みと風景
鳥取県/島根県/岡山県/広島県/山口県 ほか
●四国の町並みと風景
徳島県/香川県/愛媛県/高知県 ほか
●九州・沖縄の町並みと風景
福岡県/佐賀県/長崎県/熊本県/大分県/宮崎県/鹿児島県/沖縄県 ほか
●東北の町並みと風景
青森県/岩手県/宮城県/秋田県/山形県/福島県 ほか
●北海道の町並みと風景
函館 ほか



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レンズが撮らえた〜150年前の日本〜

2016年07月18日 | ほか作家、アンソロジーなど
監修/小沢健志

 2013年9月発行

 日本の初期写真に写し出された150年前の人々の暮らしと生活(飴細工、スイカ売り、指物師、食事の支度をする人たち、ほか)。
 そして日本各地の風景(松島、鎌倉、中禅寺湖、有馬温泉、伊勢神宮、ほか)。
 幕末~明治中期に撮影された写真を掲載。

カラー特集 写真で見る幕末・明治
●主な写真
人力車に乗る女性/団扇を持つ女性/横浜ステーション/駕籠に乗った女性/さまざまな髪型/後ろ姿/日光東照宮唐門/芝増上寺有章院/霊廟/飴細工屋/西瓜売り/雲竜水/笊売り/指物師/甘酒売り/大八車



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幕末新選組

2016年06月09日 | 新撰組関連
池波正太郎

 2004年1月発行

 新選組二番隊組長・永倉新八の生涯を描いた作品。

青春の血
試衛館の人々
浪士隊出発
誠の旗
変乱
梅雨空
池田屋騒動
戦雲
江戸の空
激流
七条油小路
賊徒
敗走
明治元年
落日 長編

 松前藩江戸詰藩士の子息として生を受けた栄治(後の永倉新八)は、幼少の頃より神道無念流の岡田十松道場に通い、18歳で本目録を受けるまでの腕前となる。
 やがて出奔し、武者修行の旅の果てに江戸市谷の試衛館道場に辿り着き、四代目道場主の近藤勇の人柄に惹かれ、同道場仲間と共に、幕府が募集した浪士隊に参加し、京へと旅立つのだった。
 そして、舞台は京へと移り、新選組の前身・浪士隊から名を連ね、数々の戦いへと身を投じる。
 やがて、敗戦を重ね、近藤と袂を分つと、市川宇八郎(元松前藩士)らと靖共隊(作者は精鋭隊と表記)を結成し、北関東にて抗戦するも、会津藩の降伏を知ると、江戸(東京)へ戻り、松前藩に帰参が適う。
 その後、藩医・杉村介庵(松柏)の娘・きねと結婚して婿養子となり、名を杉村治備(後に義衛)と改める。

 池波先生の作品を拝読させていただいたのは、初めてなので(映像は大ファンです)、ほかも読んでみないことには、作者の意図なのか否か分からないが、単純に編集者のミスが結構目に付いたのが残念。
 内容は面白く一気に読み終えた。

主要登場人物
 永倉新八…新選組二番隊組長及び撃剣師範
 近藤勇…新選組局長
 藤堂平助…新選組八番隊組長、のち御陵衛士(高台寺党)
 原田左之助…新選組十番隊組長
 芹沢鴨…新選組局長
 土方歳三…新選組副長
 山南敬助…新選組総長
 沖田総司…新選組一番隊組長
 斎藤一…新選組三番隊組長
 伊東甲子太郎…新選組参謀及び文学師範、のち御陵衛士盟主
 鈴木三樹三郎…新選組九番隊組長・御陵衛士
 武田観柳斎…新選組五番隊組長
 市川宇八郎(芳賀宜道)…元松前藩士、靖兵隊隊長、永倉新八の朋友
 小常…永倉新八の妾、島原亀屋・芸妓
 



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日月めぐる

2016年05月28日 | 諸田玲子
 2008年2月発行

 江戸末期、駿河国の小藩・小島藩を舞台に、不思議な色合いを見せて渦巻く川に、人生を巻き込まれる人々の姿を描いた珠玉の7編。


川底の石
女たらし
川沿いの道
紙漉
男惚れ
渦中の恋 計7編の短編連作


 若かりし頃、上役の悪事を暴こうとした友が、川で惨たらしい姿で発見されたことに、疑念を抱く武士。

川底の石
 迎えに来ると言い残した男を、10年待ち続けた女。歳月を経て現れた男の本性は。

女たらし
 生粋の詐欺師である男が、出会った人の心に触れ、全うな人生を歩み始める。

川沿いの道
 夫婦約束をしていた藩士を待ち続ける武家娘だったが、男は、藩命に抗えずに自分の兄を討ったがために、己の元を去ったことを知る。

紙漉
 男と出奔した母を「女敵討ち」のために、やって来たひとりの武士が、その真実を知る。

男惚れ
 武士に憧れていた百姓が、「男惚れ」していた武士が、女にうつつを抜かしていると思い込み、嫉妬から取った行動が、思いも寄らぬ悲劇を生んだ。

渦中の恋
 大政奉還後、小島藩へ移封となった旧幕臣たちが抱く憂いや抗い。そして、各々が選択を迫られる。

 一気に読み終えて、暫し呆然とした。情景、状況、心理といった何いずれの面からも、見事としか例えようのない珠玉の名作である。
 一話完結であるが、登場人物の人生が、ほかの作品にも折り重なって、観覧車のように回る。そして不思議な色を成す川の渦が、全作を通してシンボリックに描かれている。
 冒頭からの巧みな文章と構成に引き込まれ、また、登場人物にも無駄がないので分かり易く、時代小説ファンでなくても一気に読むことができるだろう。
 諸田玲子氏の底力を見せ付けられた思いである。


 
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