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高病原性、強毒型、強毒性、致死率、言葉の混乱が引き起こす誤認知

2009-05-03 18:20:00 | 新型インフルエンザ
高病原性鳥インフルエンザ弱毒型。
この意味は鳥の世界で病原性の高い鳥インフルエンザが人間にとっては弱毒型(弱毒タイプ)であったということである。
一方、通常のヒトヒト感染能力を獲得したインフルエンザについてのみいうときには、病原性という言葉が、前記弱毒型と同じ次元で使われる。すなわち、話者によって、同じ意味で高病原性と強毒型が使われることとなる。
さらに混乱の元になるのが、毒性という言葉だ。
ある人は致死率の大小という意味で「毒性が強まる可能性」という言い方をすると思えば、弱毒型というべきところを「毒性が弱い」という言い方をすることから、聞いている方からすれば、弱毒型が徐々に強毒型になるかのような誤った捕らえ方をされかねない状況となっている。
致死率を左右するのは、毒型(病原性)以外でも、よく鍵と鍵穴のマッチングで例えられるウイルスの感染能力(ヒトヒト感染を繰り返す中で高まる可能性は高い)と、乾燥した条件で生存率が高くなるウイルスへの曝露量(冬のインフルエンザシーズンの原因)、そして人の免疫記憶などがあり、これは変化しうるのである。しかし、あくまで弱毒型であって局所感染でしかない。
結局、元々が外来語の和訳からきているため、日本語としての定義があいまいであることが識者同士の言葉の不統一につながっているわけであるが、正しい情報をという場面では大きな障害となっているのである。

現状の事実を整理すれば、

①今回の新型インフルエンザH1N1は(感染が局部に留まり全身に及ばないという意味で)弱毒型。詳しくはhttp://navy.ap.teacup.com/hikaritoyami/385.html
②この弱毒型の新型インフルエンザがH1N1のまま強毒型となる可能性はほとんどない(あなたが1時間後に急死する可能性を考えるようなものであまり意味がない)。
③弱毒型H1N1と鳥インフルの強毒型H5N1とが遺伝子再集合する可能性は否定できないが、これも、従来の季節性インフルエンザと鳥インフルの強毒型H5N1が遺伝子再集合して新型になるという可能性と何ら異なることはない。(逆の言い方をすれば、かねてから最も危惧されている強毒型新型インフルエンザの恐浮ヘ去っていない。)
④毒性(人間を死に至らしめる致死率という意味で)は今は弱いが今後ウイルス自体の感染能力・増殖能力が高まり、秋以降にはスパニッシュインフルエンザのように(致死率が高まるという意味において)毒性が強まる恐れがある。特に季節的にも感染効率が高まる条件が整うことから、医療への過度の負担などが結果として致死率を高める恐れは否定できない。
⑤現状ではタミフル、リレンザが有効に作用しているが、今後効かなくなる(ウイルスが耐性を獲得する)可能性は否定できない。

ということになる。

今現在、取り立てて恐浮エじる必要はないと発生報道直後から言った(http://navy.ap.teacup.com/hikaritoyami/381.html)のはこういう事情からだ。

ただし、同じく当初から述べたようにhttp://navy.ap.teacup.com/hikaritoyami/382.html
この秋以降の備えが肝要である。
県内の私学高校で今月のカナダ修学旅行を秋に延期と報道されていたが、状況から見れば安易な判断だ。
決して十分ではないが時間はある。秋以降こそ本番のつもりで今から備えるべきである。

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