「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

第21回全国市民オンブズマン岩手大会報告その4(最終)

2014-10-11 22:04:00 | 近況活動報告
間があいてしまいましたが、その1(公共事業問題)その2(政務活動費、秘密保護法、地方自治法改正問題)その3(復興計画策定の意思決定過程問題)に続いて、今日はギャンブル問題(カジノ問題)を紹介します。
これは、四つの分科会のうちの一つのテーマで、問題の中心は現在国会で継続審議中の「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案』、いわゆるカジノ解禁推進法案です。
一見すると自治体行政とは無関係に見えますが、当然のことながらカジノ誘致運動が行われれば予算が組まれ税金が使われるわけですが、そればかりではなく、一度誘致されればギャンブル依存症、多重債務問題、風俗環境の悪化など、さまざまな問題が財政負担として、のし鰍ゥってくるのです。
そのため、分科会では「「人と社会とまちを破壊するパチンコ・カジノ賭博」ギャンブル依存症に苦しむ人々をうまないために」とのテーマで、基調講演で依存症の実態を北海道精神保健福祉センター所長の田辺氏に講演していただき、その後、韓国江原ランドカジノの実態調査報告などの現状報告を経て質疑応答が行われ、最終的には大会の最後で大会宣言とは別に以下の決議が行われました。


また、このカジノ解禁推進法案については、日弁連においても今年5月9日に「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)に反対する意見書」を取りまとめています。
では、より具体的にこの法案を見てみましょう。

推進する側は、よくカジノは施設の一部に過ぎないなどと言いますが、これまでのリゾート振興との違いは一目で、この法案が「カジノ解禁」にあることは明白です。
そして、推進論の前提はカジノ施設が「観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資する」というものですが、本当にそうなのか?と疑問も出てきています。

ラスベガスやマカオのようなにぎやかな事例だけを見れば観光及び地域経済の振興に寄与というのも嘘というわけではないのでしょう。しかし、一方で多くの失敗事例があることも見なければ選択を誤ることとなります。
併せて、日本の伝統文化からそういうものがふさわしいのかも考えるべきです。
現にヨーロッパにおいてはカジノは存在するもののラスベガスやマカオのようなところはなく、隠れた社交場という形態です。

韓国(全17か所)のカジノは、日本での推進論同様当初の目的である外国人の誘客・利用においては思ったようにいかず、唯一自国民の利用を認めた江原(カンウォン)ランドカジノが開設されるや、そこがカジノの国内売り上げの約8割を占めるに至り、しかもそこでの96パーセントが自国民の利用という目的とかけ離れた歪んだ実態を見せています。
周辺には質屋が建ち並び、カジノ経営者の株式会社江原(カンウォン)ランド所属の賭博中毒センターKACCが年間8億円の予算で中毒の予防・相談・治療などに当たっていますが、中毒患者はすでに1万人を超え自殺者やホームレスを生み出しています。

このようなものが良いというのなら、麻薬を売って患者を増やして雇用が生まれ経済が・・などということと同じ意識構造です。
経済波及効果(お金の循環)はあっても、人間の営みとしての生産性は全くありません。
日本の観光のあり方として目指すべきものでしょうか。

さらに問題であるのが、カジノ管理委員会の許可を受けた民間事業者によりカジノ経営が行われるということです。
カジノは結局は胴元であるカジノ経営に当たる民間会社が利用者の金を巻き上げるシステムです。
この法案の行き着く先はアメリカ資本による日本国民の資産の収奪なのです。

厚生労働省はギャンブル依存症問題に懸念を示し、カジノの日本人利用を認めないよう訴え、超党派議員で構成のカジノ推進団体「国際観光産業振興議員連盟」(通称カジノ議連、静岡県内選出議員も数名名を連ねている)の役員会では外国人限定の修正案に応じる意向を示していましたが、先日10日には一転し、カジノ利用を外国人に限定する修正方針を撤回し日本人も利用できる現行案の骨格を維持することで大筋一致したとのことです。
これに先立つこと8日には、 推進論者の大阪の橋本市長が市役所で記者団に「日本人を排除することに決まったわけではない。日本人を排除したらカジノ資本は日本に統合型リゾートを作る意義はないと判断すると思う」と述べています。
ここにこの問題の本質が現れています。

つまり、アジア最後のフロンティアといわれる日本の資産を狙っているアメリカのカジノ資本に来てもらってその分け前にあずかるには、カジノからの日本人の排除は論外であるということです。
裏で大きな巻き返しの力が働いたことは想像に難くありません。

日本人の精神と富を蝕むこのような売国の動きには明確に反対の意志を表明するものです。