
わたしは、1999年に始まり2001年に落成した『白樺文学館』をつくるとき、建物と家具等のデザインのコンセプトを『国立西洋美術館』のイメージに求めました。建築会議で、設計士や施工者にその旨を説明し、具体的な作業を行ったのです。家具はわたしが絵を描きディテールに至るまですべて責任をもちました。
また、2002年に始まり2004年に落成した『白樺教育館』も同じく、西洋美術館の基本思想を意識し、細かな仕様までわたしの意思を徹底しました。取っ手や看板に至るまですべて同一の考えで貫かれています。また肝心な部分は、具体的な作業もわたしが自ら行いました。
施工は大成建設。
わたしがルイ・コルビジェのデザインに見てとったコンセプトとは以下のようなものです。
①モダンであるが、クールではない。
②繊細・優美であり、かつ揺るぎない強さをもつ。
③展示という行為が過去の賛美ではなく、未来を拓く現代的意味を持つ。
④ディテールを大切にする。ていねいなつくり。
⑤新鮮さと落ち着きの両立した空間。
⑥こけおどしがない。自然である。
武田康弘