拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

電気羊

2008-07-15 18:11:48 | L'Arc-en-Ciel
8月末に出るラルクの新曲「NEXUS 4」聞けた。でも、公式には「『やまだひさしのラジアンリミテッドDX』でフルOA」って書いてあったのに、途中までしか流れなかった…オイ。ギターソロ直前で切れたぞコラ。…まーいいや。既にサビだけ三浦カズ出演のレガシィのCMで流れてるし、ライブでもフルで聴いたけど、ちゃんと改めて聴くと色々気付くことがあるよね。
5月頃、タイトルが「NEXUS4」と知り、「どっかで聞いたことあるな…なんだっけ…」と色々考えてたら、近未来SF映画の傑作『ブレードランナー』だと気付いた。あの映画に出てくるアンドロイド達(人造人間。作中では「レプリカント」と呼ばれる)の製造番号が「NEXUS 6」なのだ。6を4にしたのはラルクメンバーが4人だから?曲をちゃんと聞く前は「何故今『ブレラン』…?いや、まだ元ネタ『ブレラン』だと決まったわけじゃねーよな。歌詞よくわかんないし」と思っていた。で、聴いたら…やっぱ『ブレードランナー』っぽい歌詞のように聞こえる。以下、冒頭の歌詞引用。

あてなく漂う traffic jam
街は無秩序
注ぐ雨は acid rain
明日への空席もなく
迷う僕らは夢見てるelectric sheep

これ、『ブレラン』の舞台である近未来のロサンゼルスの風景そのまんまですね。きらびやかな大都会だけどゴミゴミしてて、今にも酸性雨降りそうなぐらい空気汚れてて(実際降ってるか)。「electric sheep」は『ブレラン』の原作小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』からだろう。電気羊……作品の舞台である近未来は、環境の変化で動物が希少なものとなり、アンドロイドの動物(例えば‘電気羊’)が生産された。希少な本物の動物をペットとして飼えるのは金持ちだけなので、庶民達はロボット動物を飼いながら、いつの日か本物の動物を手に入れることを夢見る。じゃあ、人間そっくりに造られたアンドロイドは?本物ではなく、電気の羊を手に入れることを夢見たりするのか?…これが『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の意味だ。
で、「NEXUS 4」の歌詞、「夢見てる」の主語は「僕ら」か「electric sheep」かどっちだ?『ブレラン』的世界なら当然前者だろう。「僕ら」とは『ブレラン』に出てくるような、魅力的なアンドロイド集団。生きるため、自身の寿命(耐用年数)を伸ばすよう、造り手である人間を脅迫するためにロサンゼルスに紛れ込み、ハリソンフォード演じる刑事と死闘を繰り広げる、カッコいいアンドロイドたちだ。振り返る事を知らないようなサビの歌詞なんて、アンドロイドのリーダー・ロイの生き様みたいだぜ!で、冒頭の『ブレラン』の近未来都市みたいな描写は、映画の世界に現実が確実に近づいていることへの警鐘だ。例えば、上海辺りに行った人は皆『ブレードランナー』みたいだったと語る。確かにあの映画の世界はマジにカッコいい。超高層ビル群と、1900年代初頭辺りの世界でも指折りの国際都市だった頃のようなレトロかつノワールな街並みが同居しているからだ。でも、そこで暮らすとしたら?ダーク過ぎるし空気も悪そうだしちょっと嫌でしょ。汚染に構わず発展した結果、そんなダークな世界が現実にのものになって来ている…。
…暴走してしまった。インタビューとかで『ブレラン』の「ブ」の字もでなかったら笑える。でも「NEXUS」「electric sheep」ときたら誰だって『ブレードランナー』を連想するでしょ普通!…ただ、『ブレラン』はこんな明るい曲が似合う映画じゃないが(苦笑)。最近変化球的なシングルが続いてたけど「NEXUS 4」は久しぶりにスカッと抜けるようなアッパーな曲で、メロディも超キャッチー。故にtetsuが作った曲かなと思ったが、イントロからAメロに転がり落ちる感じがNANAこと中島美嘉に提供した名曲「GLAMOROUS SKY」にそっくりだからhydeかも。
hydeの曲じゃないにしても、「NEXUS 4」と「GLAMOROUS SKY」は曲の雰囲気や構成がとても似ている。「GLAMOROUS~」が出た時、「こういう名曲を何故人にあげちゃうんだよ、ラルクでやれよ」とマジで思い、「この部分、ラルクのメンバーだったらどう弾くのかな」と妄想することが多々あった(中島のやつも好きですが)。今回「NEXUS 4」で遂にラルク版「GLAMOROUS~」が聞けた感じ?hydeのソロワークスを支えるメンバーが演奏してる「GLAMOROUS~」と、ラルクが演奏してる「NEXUS 4」を聞き比べると興味深いぜー。
演奏で印象に残ったのはドラム。いつものように力強くも流れるような豪快フレーズ満載なんだけど、サビでパンクみたいなシンプルで乾いたフレーズをガンガン叩いてて、「あれ?そんなパワフルなドラム叩くの?珍しい」と思った瞬間、また複雑なフレーズに戻るという…。あぁ、また生で聴きたいなー…。

つーか、発売もしてないのになんでこんな長文書いてんだろ…。


追記
「NEXUS4」の作曲者、tetsuだった…。