拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

道端

2007-11-23 23:06:43 | 音楽
タンポポ。モーニング娘の中から、飯田香織、石黒彩、矢口真里の3人をピックアップして結成されたユニット。石黒彩がモー娘を脱退した後は残った二人に石川梨香と加護亜衣を加え、4人グループとして再出発。3人だった1期と4人になった2期。双方のコンセプトは全く違い、出来上がった楽曲の雰囲気も正反対と言って良いほど異なっているが、両方ともかーなり良い楽曲が揃っている。個人的には同時期に活動していた後藤真希率いる「プッチモニ」や、本隊のモー娘よりも曲が粒ぞろいなのではないかと思っているほどである。でも、私がタンポポの魅力に気づいたのはつい最近。リアルタイムでは殆どスルーだった。ブックオフで発売されている二枚のアルバムを105円でなんとなく購入したのがキッカケで、一気にタンポポワールドにハマりつつある。
1期のメンバーで制作された1stアルバム『TANPOPO1』。こちらのコンセプトは、モー娘本隊では表現しきれない、少々大人っぽい雰囲気の楽曲と繊細なコーラスワークの追究であろうか。丁寧に作りこまれた楽曲と切ない歌詞。アルバムを一通り聴けば、当時のスタッフたちの気合を手に取るように感じることが出来るだろう。この頃って、プロデューサーであるつんくの仕事量も今より全然少なかったはず。ゆえに一つ一つの楽曲制作に全力投球できたのだろう。発売されたのは99年3月。モーニング娘。の大ブレイク前夜の、奇跡のような仕事である。本当、捨て曲無いんだよなー。流麗なストリングスと冷気漂うシンセ、感情をくすぐる絶妙なメロディー運び。歌も、アイドルだって事を忘れそうになるくらい綺麗にハモってる。
対して2期のメンバーでは、数枚のシングルが出されただけでオリジナルアルバムは作られていない。代わりに1期タンポポのシングルと2期のシングル及び未発表曲などを収録した『All of タンポポ』というアルバムが、セカンドアルバムとして発売された。これはこれで良いアルバムなんだけど、やっぱり2期でもちゃんとしたオリジナルアルバムを作って欲しかった、というのが正直なところ。この頃のつんくはモーニング娘。全盛期で、モー娘。以外にも様々なユニットのプロデュースを抱えていたためそんな余裕は無かったのだろうな…。1期の音作りが打ち込み主体だったのに対し、2期は生音主体で、コンセプトはブリティッシュロックポップといった所か。クイーンの曲と似た雰囲気が殆どの曲に漂っているのだ。そこに乗るのは拙くも可愛らしい歌声。歌唱力は1期より大分劣るので、コーラスワークを売りにすることは出来ないのだが、ラフでポップな曲に妙にマッチした歌声を聴かせてくれる。
1期と2期、両方とも唯一無二の魅力があるが、私はどちらかというと2期のほうが好みである。1期のタンポポは曲のストーリーが悲しげなものばかりだったのに対し、2期はハッピーでほのぼのとしたものばかり。しかしなぜだろう、ハッピーなのに、聴いてると心がざわざわとしてくるというか、しんみりしてくるというか…。音楽というのは不思議である。上質なものが心を動かすとは限らないのだ。要所で美しいハーモニーを響かせる1期の方が明らかに歌のクオリティーが高いのに、歌唱力のレベルもバラバラで拙く、ハモったりせずユニゾンで歌われる2期の方に、私は堪らなく心惹かれてしまう。なんでだろうねー。こればっかりは説明出来ないわ、自分でも。「音楽の魔法」って所に収束するのかな、結局。『All of タンポポ』二曲目の「恋をしちゃいました!」という曲なんて、歌詞だけみたら楽しいムード満点なのに聴いてると泣きそうになる。「I&YOU&I&YOU&I」という曲も、聴いてると胸を締め付けられるなぁ。
ニコニコ動で、タンポポが「恋をしちゃいました!」をMステで歌う映像を見つけたのだが、それはもう最高で。振り付け可愛いし、4人全員がキラキラ輝いている。そういえば、タンポポメンバーの加護ちゃんがとんでもない形で芸能界を引退してしまったから、あのMステの映像は完全にお蔵入りなんだろうな。本当に可愛くてハッピーな映像なのに、おそらく永遠に流れない…。あの輝きは、テレビでは二度と拝めない…。やっぱり切ないね。二度と戻らないからこそ、余計にキラキラ輝くんだろうね。