つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

義経と言えばコレ

2005-08-16 21:48:42 | マンガ(少年漫画)
さて、別に流行に合わせたわけではないけど第259回は、

タイトル:ますらお―秘本義経記(全八巻)
著者:北崎拓
文庫名:少年サンデーコミックス・スペシャル

であります。

十年前ぐらいにサンデーで連載されていた義経の漫画です。
この方は恋愛物専門だと思ってたので、当時はびっくりしました。

義経が鞍馬寺を脱走する所からストーリーは始まります。
この遮那王(義経の幼名)、とにかく弱い……肉体と立場が。
立ち塞がるは僧、山犬、盗賊、僧兵、もちろん味方は自分だけ。
金力0、権力0、力1、素早さ5、見事なまでにレベル1の勇者です。

人生戦ってなんぼじゃあ~、と吠えたところで力量低すぎ。
反骨精神と狡賢さだけを武器に暴れますが、強敵には歯が立ちません。
人間不信の塊なのに、どこかで人を信じてしまうところも可愛らしい。
生き延びたのは……運でしょうね、やっぱり。(笑)

こういう奴が主人公ですから、善人が出ないと話になりません。
遮那王以上に弱いのに、人を信じることを知り、根性で生きる静。
恵まれた体格を誇りながら、自らあっさり命を捨てられる弁慶。
二人のおかげで遮那王の性格は少し丸くなります、まさに成長物語。

後半は史実がメインになりますが、前半はオリジナルの話が満載。
母親に会いに平家の本陣に突入したり、海賊に捕まってみたり。
キャラも平家物語等とは少し違う書き方してて面白い(特に維盛様)。
一応主役二人だけ紹介しときます。

遮那王、後の義経。
弱者を罵り、自己犠牲を馬鹿と嘲る、男にも女にも冷たいお方。
しかし、実体はそういう馬鹿に惚れてしまう典型的な照れ屋さん。
序盤は野獣みたいでしたが、後半は極甘なキャラになっちゃいました。
ちなみにこの方、義経物の漫画では一番美形だと思います。(笑)

武蔵坊弁慶。
長髪オールバック、ぶっとい眉毛がチャームポイントの怪力坊主。
気は優しくて力持ち、弱きを助け強きをくじく庶民のヒーロー。
盲目的に正義を突き通すのではなく、常に葛藤を抱えている所が素敵。
義経の優しさを見抜き、友の誓いを立てた格好良い漢でした。

絵は綺麗だし、話のテンポもいいし、かなり好きな作品です。
た・だ・し……凄い問題が一つだけあったりする。
打ち切りで終わってるのです、かなり唐突に。(泣)

とりあえず、義経美形説支持者、平家物語好きにはオススメ。
どなたか、衝撃のラストシーンを見て一緒に悔しがって下さい。


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