つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

実はカードの方がオマケだったり(笑)

2007-02-17 20:41:43 | マンガ(少年漫画)
さて、別にカードゲームに興味はないが、な第809回は、

タイトル:デュエルファイター刃(全7巻)
著者:中村哲也
出版社:ホビー・ジャパン

であります。

対戦型カードゲーム『マジック・ザ・ギャザリング(以下、ギャザ)』をネタにした少年漫画。
ボンボン、コロコロ等でよく見かける『主人公がある遊びにハマってライバル達と戦う漫画』と同じ系列の作品……だったのですが、終盤はむしろファンタジーバトル物に近くなりました。

ストーリーは、東京ジュニアトーナメント準優勝の実績を持つ主人公・竜ヶ崎刃が、ヴァーチャル対戦システム『Planes Walker』を使用したギャザの大会に参加し、ライバル達としのぎを削るというスタンダードなもの。
全日本ジュニアトーナメント終了後は、大会で得た仲間達とともにジュニア世界選手権に挑むという、これまた王道な展開が待っています。
普段は割と大人しいけどギャザのこととなると熱くなる主人公・刃、刃の幼馴染みでひたすらつくすタイプのヒロイン・マドカ、刃の親友で東京ジュニア王者のシュン、『Planes Walker』のテストプレイで刃を破った強力なライバル・アキラなど、キャラクターのラインナップも非常に王道――。

誰だ、王道ばかりで面白くないとか言ってるのは?(笑)

しかしこの漫画、王道に見えて王道でないところが一つあります。
このテのタイアップ漫画という奴は、商品の紹介を行い、販売促進の一翼を担わなくてはならないという宿命があるのですが、本作は途中からほぼ完全にその役目を放棄し、ストーリー重視の方向にシフトチェンジしているのです。
もっとも、ギャザはさっぱり解らないし、プレイする気もない私にとって、これは非常に有り難い話ではありましたが。(笑)

そもそも初手からして、アンタップやマナカーブといったゲーム専門用語がバンバン飛び出す上、キャラが使用するカードの情報も小さく表記されるだけという、初心者お断り仕様。
一応、キャラ同士の対戦の解説コラムが各話の間に入っているのですが、やはり元ゲームを知らない人間にとっては、ちと解り辛い内容でした。
この時点で既に、新たな購買層を作るという目的はすっ飛ばされています。ある意味潔いとは言えるが。

では、既存のプレイヤーから見て、ギャザを視覚化した楽しい漫画だったかと言うと……実はツッコミ所満載だったようです。
カード情報の間違い、ルールの間違い、プレイの稚拙さなど、とにかく対戦部分のアラが多かった、と聞きました。(元ゲー知らない私はただ聞いてるだけ)
まぁ、ギャザ自体が、カードに幾つものバージョンが存在し、時間と共にルール変更でバランス調整をしているゲームらしいので、正しいプレイもしくは上手いプレイを演出するのが難しいという事情はあったようですが。

じゃあ、私自身はどうだったかと言うと……結構面白かったです。
対戦で何をやってるかは憶測で補えばいいし、キャラクターも結構出てくるし、作者も開き直ったのかゲーム無視してキャラ同士のストーリーをガンガン進めるしと、普通の少年漫画として楽しめました。
特に、最終六、七巻は普通の対戦そのものがなくなり、ギャザのカードの怪物や呪文を使ったファンタジーと化して、『Planes Walker』の秘密、開発者であるブラスの正体、ヴァーチャル世界を彷徨うアキラの妹・アーシュラの真実など、数多くの謎に迫るストーリーがノンストップで展開されます。
取って付けたようなオチでまとめてるけど、視覚的に格好良いシーンが多かったので、少年漫画的にはオッケー……かな。

ゲームのファンにはオススメしませんが、な~んも考えずにさらっと読むには結構悪くない作品。
割と可愛らしい絵柄なので、ビジュアル重視の人にも向いているかも知れない。
刃の兄貴分である『火事場力』が異常に格好良いので、私はそれだけでも満足だったりしますが。(爆)


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