さて、300回記念に何やろうとか考えてる第258回は、
タイトル:鉄砲を捨てた日本人―日本史に学ぶ軍縮
著者:ノエル・ペリン
文庫名:中公文庫
であります。
海外の学者から見た日本の歴史……とはちょっと違います。
ま、そういう面もあるのは確かですが、それについては後述。
鉄砲伝来が1543年、これは有名ですね。
んで、第六天魔王が勝頼をへこました長篠の合戦が1575年。
このわずか32年の間に日本の鉄砲は飛躍的に進化しました。
「火縄銃は弱点だらけだ。一発撃つまでの所要時間が弓に比べて長すぎる、接近戦ではほぼ役に立たない、雨になれば棒きれと大差がなくなるし、肝心の破壊力も距離が遠ければ兜を貫くことすらできない。だがそれでもあれは最強の武器と呼ばれた。なぜだか解るかい?」
「改良が簡単だった?」
「そう、火縄銃はとっても作りやすかったんだよイン×グラ」
(※本文中にこんな記述はありません)
上記の会話は忘れて下さい。(笑)
刀鍛冶にとって鉄砲を改良、量産することは難しくありませんでした。
諸問題を解決し、破壊力を増した火縄銃は戦そのものを変えていきます。
人ではなく物で戦う時代の到来ですね――と、ここまでは東西同じ。
問題はその後です。
幕府成立後、銃の生産は一気に減少しました。
内乱が終わり、鎖国を始めた時、銃はその役目を終えたのです。
実用性しか価値がない銃に興味を示さなくなった、とも言えます。
ヨーロッパの場合、これと全く逆の現象が起こりました。
実利と精神の区分けが急速に進行したのです。
結果として、強大な経済力と軍事力を得て、その矛先は外征へと向かいました。(日本も秀吉が同じ事やりましたが……)
銃の登場後も日本で最も価値のある武器は刀でした。
銃は飽くまで道具です、そこには徹底した効率主義しかありません。
しかし、刀は武士の精神的支柱であり、意思を乗せるものでした。
結果として、日本人は後者を取ったのです。
この特徴は言語にも見ることができます。
微妙に意味の違う語句というのが、日本語には非常に多い。
実用性と精神性の融和を好む日本人ならではといったところでしょうか。
筆者は日本人の特異性に着目しつつ、その思想を現代にも適用すべきだと主張します。実利主義による経済成長がなくとも、文化的発展があり得るとの考え方です。彼は例として、江戸時代のテクノロジー――革命的ではないが緩やかな技術の進歩についても紹介しています。
ところどころに誤認が見えますが、非常に優れた観察をされています。
むしろ日本人より詳しいかも……歴史好きの方は是非御一読下さい。
蛇足。
カムイ外伝で追忍が火縄銃を使う相手を嘲笑うシーンがあります。
「フン……我らに火縄が通じるか!」
彼らは火縄の臭いを敏感に感じ取り、あっさりと狙撃者を倒してしまう。
やっぱり日本人ってチャンバラが好きなんだなぁと思いました。(脱線)
タイトル:鉄砲を捨てた日本人―日本史に学ぶ軍縮
著者:ノエル・ペリン
文庫名:中公文庫
であります。
海外の学者から見た日本の歴史……とはちょっと違います。
ま、そういう面もあるのは確かですが、それについては後述。
鉄砲伝来が1543年、これは有名ですね。
んで、第六天魔王が勝頼をへこました長篠の合戦が1575年。
このわずか32年の間に日本の鉄砲は飛躍的に進化しました。
「火縄銃は弱点だらけだ。一発撃つまでの所要時間が弓に比べて長すぎる、接近戦ではほぼ役に立たない、雨になれば棒きれと大差がなくなるし、肝心の破壊力も距離が遠ければ兜を貫くことすらできない。だがそれでもあれは最強の武器と呼ばれた。なぜだか解るかい?」
「改良が簡単だった?」
「そう、火縄銃はとっても作りやすかったんだよイン×グラ」
(※本文中にこんな記述はありません)
上記の会話は忘れて下さい。(笑)
刀鍛冶にとって鉄砲を改良、量産することは難しくありませんでした。
諸問題を解決し、破壊力を増した火縄銃は戦そのものを変えていきます。
人ではなく物で戦う時代の到来ですね――と、ここまでは東西同じ。
問題はその後です。
幕府成立後、銃の生産は一気に減少しました。
内乱が終わり、鎖国を始めた時、銃はその役目を終えたのです。
実用性しか価値がない銃に興味を示さなくなった、とも言えます。
ヨーロッパの場合、これと全く逆の現象が起こりました。
実利と精神の区分けが急速に進行したのです。
結果として、強大な経済力と軍事力を得て、その矛先は外征へと向かいました。(日本も秀吉が同じ事やりましたが……)
銃の登場後も日本で最も価値のある武器は刀でした。
銃は飽くまで道具です、そこには徹底した効率主義しかありません。
しかし、刀は武士の精神的支柱であり、意思を乗せるものでした。
結果として、日本人は後者を取ったのです。
この特徴は言語にも見ることができます。
微妙に意味の違う語句というのが、日本語には非常に多い。
実用性と精神性の融和を好む日本人ならではといったところでしょうか。
筆者は日本人の特異性に着目しつつ、その思想を現代にも適用すべきだと主張します。実利主義による経済成長がなくとも、文化的発展があり得るとの考え方です。彼は例として、江戸時代のテクノロジー――革命的ではないが緩やかな技術の進歩についても紹介しています。
ところどころに誤認が見えますが、非常に優れた観察をされています。
むしろ日本人より詳しいかも……歴史好きの方は是非御一読下さい。
蛇足。
カムイ外伝で追忍が火縄銃を使う相手を嘲笑うシーンがあります。
「フン……我らに火縄が通じるか!」
彼らは火縄の臭いを敏感に感じ取り、あっさりと狙撃者を倒してしまう。
やっぱり日本人ってチャンバラが好きなんだなぁと思いました。(脱線)
忍者大好きなのにカムイ読んで無いし…
本伝は……第二部からかなりくどくなっちゃったので何とも。(笑)