つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

今どこの記憶にいる?

2005-10-05 20:31:34 | マンガ(少年漫画)
さて、ある意味迷宮話な第309回は、

タイトル:POSSESSION TRACER
著者:米村孝一郎
出版社:富士見書房

であります。



【久遠ひづかのコスプレをするノッペラ星人】


奇才、米村孝一郎の描く近未来ポリスストーリー。
この人の漫画結構好きなんですが、一番のお気に入りがコレ。



PT(ポゼッション・トレーサ)と呼ばれる者達がいる。
別名、憑依捕捉能力者と呼ばれる彼らは他人の意識に侵入し、その行動を支配できるという特殊な能力を持つ。
PTによる犯罪の立証が困難であること、また旧来の捜査ではそれを未然に防ぐことができないことから、警察はついに心霊捜査課を発足した。

しかし、警察所属だろうとPTはPT、周囲の風当たりは強い。
地道な捜査を誇りとする捜査一課、二課は遠距離から犯罪者に取り憑き、一気に事件を片付けてしまう心霊捜査課を爪弾きにする。
予算は削られる、機材の質は落ちる、集まって来るのはオカルト趣味の変人ばかり、挙げ句の果てにはバケモノ屋敷呼ばわりされてしまう。

それでも、心霊捜査課のボス猿こと課長久遠ひづかは奮闘する。
売られた喧嘩は買う主義というのもあるが、大部分は畔南分署の中で最も心霊捜査課に理解を示してくれる岩橋署長のためだ。
かつてはコンビ、今ではオチコボレ課の課長とその上司、二人の距離が開いていくことを苦々しく思いながら、今日も久遠は現場に乗り込む!



というわけでSF刑事物語です。
憑依能力の解釈と視覚表現も見事な上、各人のドラマの出来がよい。
あと会話が物凄く上手、短い台詞からでもキャラの性格が読み取れる。

面白いのは、久遠含むPT全員がトラブルメーカーであること。
PTだから、だけではなくて、性格に問題があるのです。
警察官に見えないかも知れませんが、それは言いっこなし。
何せボスの久遠さんからして、
惚れた弱みで課長やってる人
ですから。(笑)

文句なしのオススメ。
十三年前の作品ですが、ネタに古臭さは全くありません。
ゴチャゴチャした解説文を使わず、会話と絵だけで世界観を表している作品なので、知識も一切不要です――読んで感じるべし。


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