つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

スパイラルナイフで悪を斬る!

2007-01-16 23:32:36 | マンガ(少年漫画)
さて、スリーセブンだったりする第777回は、

タイトル:惑星をつぐ者
著者:戸田尚伸
出版社:集英社 ジャンプコミックス(初版:H8)

であります。

十年ちょっと前に週刊ジャンプに連載されていたSFアクション。
残念ながらたった九週で終了してしまいましたが、打ち切りとは思えない程きっちり終わってます。
ちなみに、同名のSF小説とは全く関係がありません。



それは遥か未来――人類が宇宙に進出した時代。
脆弱な肉体しか持たない人類種は、屈強な多種族との生存競争に敗れ、苦しい立場に立たされていた。
だが、希望がないわけではなかった……惑星マリスで生み出された特殊細胞タフ・ブースターは、人類種に強靱な肉体を与えてくれるという噂が流れていたのだ。

熱砂の惑星でバルカル種族に奴隷として使われている男は、ある日、同じ人類種の旅人を助けた。
水をわけてやったにも関わらず、旅人は特殊細胞に期待する男をせせら笑い、惑星マリスの実験が失敗に終わったことを告げる。
さらに、驚愕の事実が判明した……その旅人は、全宇宙に指名手配されている賞金首バラダッド・ナイブスだったのだ。

男はナイブスを無視して、いつものように住処を抜け出した。
熱砂の惑星で生き延びるために必要不可欠なもの――水を盗むために。
だが、バルカル族の兵士に発見され、公開処刑を待つはめになってしまう。

そして……宇宙一の硬度を誇るバルカルス剣が振り下ろされようとしたまさにその時、来る筈のない人物が助けに現れた――!



今から考えると、よくジャンプに載ったよなぁ、って作品です。
何が凄いって――
絵がとにかく濃い。
口では説明し辛いのですが、無理矢理一言で言うなら劇画、かな?
少なくとも、当時の連載作品の中では明らかに浮いていました。(笑)

ストーリーは、特殊細胞タフ・ブースターを生み出した科学者バラダッド・ナイブスが、自分の研究を悪用する男『J』を追って、宇宙を旅するというもの。
バルカル種族との戦い、宇宙海賊との接触、そして、人類を救う鍵となる少年の出会いを経て、ナイブスはJとの直接対決を迎えるのですが……結果は本編で。(笑)
もっと長く続けば他にもエピソードが入ったのかも知れませんが、実質的なストーリーはこれだけ……打ち切りって無情だ。
ただし、ストーリーの核となる、復讐というミクロな物語と人類種救済というマクロな物語だけは綺麗に終わらせているので、ある意味これで良かったのかも。

で、主役のナイブス君ですが――非常に格好良いです。
自ら作り出した特殊細胞により強靱な肉体を手に入れ、古代人が使っていた伝説の武器・自在剣スパイラルナイフまで得たものの、生まれ故郷のマリス星を全滅させた疑いをかけられて賞金稼ぎに追われる毎日。
おまけに、ライバルのJは自らを神と互角以上に語る誇大妄想狂だし、同じ自在剣を持つ強力な戦士メロウスは友の仇だとか言って襲いかかってくるし、人類を救うために特殊細胞を作ったはいいけど自分以外の人間には害毒にしかならないしと、人生苦しいことばっかり。
しかし、彼は自分の罪を償うことと、人類救済という使命のため、たった一人戦い続けるのです。まさにロンリーヒーロー。

サブキャラも実に個性的な面々が揃っています。
海賊なのに正義の心を持つ戦士アンブロウ、かつて宇宙を支配したグール人最後の生き残りであり、喋る台詞すべてがキマっているメロウス、人類に見切りを付けた海賊ながら、実はコメディ担当だったりするスピッドロウ等、クセのある奴等が次々と現れてナイブスと舌戦を繰り広げます。

特にメロウスの格好良さはSF漫画史上屈指。
(そんなに沢山読んでるわけじゃないけど)

かなり人を選ぶ絵ですが、オススメです。
かなり入手困難なので、気合い入れて探して下さい。



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