今年は低学年の国語担当なので、算数を見てあげる機会が殆どありません。
各クラスに溜まっていく宿題プリントを、授業の合間に丸付けして
夫々の子ども達の状況を掴み、機会があればフォローに入るようにはしているのですが、
チャンスはそう多くありません。
1年2組のNちゃん。今朝出した100ますの引き算がまるきり出来ていませんでした。
書き並べている数字は、それはもう「適当」としか言い様のない並び方。
担任の先生(新任の女性です)に、
「Nちゃん、100ますのやり方がわかっていないか、面倒になっちゃったかどちらだと思います?」
と振ってみる。
「たぶん、両方かなぁ・・」
と仰るので、
(しめた!)
「じゃぁ、今日の放課後補習でじっくり見ますから、
寄越してください。」
と、その場で話しを進めちゃいます。
2年生の団体さんの丸付けをしながら、
Nちゃんと100ますのお直しです。
どの数字とどの数字をどうするのか、予想通りここでまず第一の躓き。
これは、こちらが指で補助して見せることで案外簡単にクリアできます。
Nちゃん、飲み込みはそれほど悪い子ではないの。
ただ、自分なりに「翻訳」しちゃうのよ。
横に順序良く動いていくことで、100ますのルールは何とかクリアできそうですが、
次の山は、繰り下がりがあったりなかったりする引き算への対応です。
Nちゃん、10進法もよく入っていないようなので
算数の授業で使うブロックの絵を書きながら、10の塊とバラの数を
意識させようとしたのですが、しばらくやってもどうも食いつきが悪いです。
13-7をするのに、
10-7=3をだして、それを10の塊のブロックのうえにかいておき
「のこりの3とあわせよう」
というと、
「さんじゅうさん?」
となってしまうので、指を使って仕切り直しです。
13-7ならば、
まず指で13を用意。
このとき私が十の位、10を担当。両手の指を全部広げます。
「一の位はNちゃんね。3だして。」
と二人の指を並べます。
ひゃくますの表を確認して、
「いくつ引くんだっけ?」
(ここ、指差してフォローします)
「なな」
「Nちゃんの指から取れる?」
「うーーん。とれない。」
「じゃぁ、先生の指から取るね。10から7とると・・・」
「3!」
「その3とNちゃんの指のをあわせると・・」
(このあたりは、実は言葉よりも手の動きで楽しみながら進めてます。
7と3が「73」になってしまうNちゃんに、「同じ指だから1本ずつ数えればよい」
という感覚を目で見て掴んでもらうためです)
「ろく!」
と答えがでたら、すかさず答えの欄に書いてもらいます。
さて、その隣のますは、
13-2
「Nちゃんの指から引けるかなぁ?」
「ひけない。」
「ホント?」
「あっ、ひける。1だ。」
「じゃぁ、先生の指と合わせていくつ?」
「えーと、じゅういち!」
という具合で、どんどん進めていきます。
こうやって、一問ずつやっていくうちに、最初の躓きポイントだった
100ますの計算の仕方と、答えをかく位置は自然にNちゃんの中で整理されていくのがわかります。
そうして、
「先生の指から取る?Nちゃんの指からとる?」
を繰り返すうちに、
「取れるものは一の位から。取れなかったら十の塊を使う」
という事が刷り込まれるのを狙います。
そうして、Nちゃんの最大の山。
3+3が「さんじゅうさん」になってしまうクセを、
実際の指を数える事で矯正したいんですね。
そして更にもう一段階。
この100ますが終わるまでに、できれば私の指がなくても
計算できるところまで持っていくことを狙っています。
だから、指だけじゃなくて鉛筆も使うんです。
私の指(十の塊)から引いたときには、必ずその数を
100ますの縦列にある(引く数)の横に丸書いて書いておくんです。
で、
「先生忘れちゃうから・・」
とか「先生指折るの面倒臭いから、さっき書いたのあったよね。」
とかいいながら、そこに書いた数に注目させるようにしておきます。
100ますって、計算がたっぷりありますから、
指遊びみたいに楽しみながら、Nちゃんが自分の指(一の位)だけで計算できそうか
様子を見つつテンポ良く進めます。
最後の1行に入るとき、
「じゃぁ、先生の指がなくてもできるようにしちゃおうか。」
といって、私の指はしまっちゃいます。
「あっ、でもその前にあれやっとかなきゃ。」
と、10から引いた数を私の指でやって見せ、これまでどおり引く数の横に丸で書き込んでおきます。
13-4
Nちゃんは3を指でだします。
4取れるかどうかみて「とれない!」
「じゃぁ、先生の指だね。でも先生疲れちゃったからさっき書いちゃったよね。」
これまでの私がやっていた事を見てますから、丸で書き込まれた数字にすぐ目が行きます。
そうして、
「6だ。」
といったNちゃん、じぶんのゆびを7,8,9と折って数えて
ちゃんと正解しました。
「ろくじゅうさん」じゃなくて、「きゅう」
これまでそこにあった私の指がイメージできるから、
6がただの6じゃぁなくなったのでしょう。
こうしてあと9問。
繰り返していくうちに、どんどんスムーズになっていきます。
終わったらとても気持ちいい挨拶をして、
2年生達がばらばらにしていった椅子も片付けて帰っていきました。
終わった後で、担任の先生にメモ書きました。
どんな事をしたかを簡単に。
そして、
「今日はよく出来て気持ち良く良く帰りましたが、たぶんまた忘れます。
繰り返すうちに身につきますので、できれば定期的に寄越してください。」
と。
1回で全てが解決すると思うから、焦ったり慌てたり大騒ぎしたりするんですよね。
本人の身につけやすいやり方で繰り返し繰り返し取り組んでいけば
そのうち必ず身につくからね。
各クラスに溜まっていく宿題プリントを、授業の合間に丸付けして
夫々の子ども達の状況を掴み、機会があればフォローに入るようにはしているのですが、
チャンスはそう多くありません。
1年2組のNちゃん。今朝出した100ますの引き算がまるきり出来ていませんでした。
書き並べている数字は、それはもう「適当」としか言い様のない並び方。
担任の先生(新任の女性です)に、
「Nちゃん、100ますのやり方がわかっていないか、面倒になっちゃったかどちらだと思います?」
と振ってみる。
「たぶん、両方かなぁ・・」
と仰るので、
(しめた!)
「じゃぁ、今日の放課後補習でじっくり見ますから、
寄越してください。」
と、その場で話しを進めちゃいます。
2年生の団体さんの丸付けをしながら、
Nちゃんと100ますのお直しです。
どの数字とどの数字をどうするのか、予想通りここでまず第一の躓き。
これは、こちらが指で補助して見せることで案外簡単にクリアできます。
Nちゃん、飲み込みはそれほど悪い子ではないの。
ただ、自分なりに「翻訳」しちゃうのよ。
横に順序良く動いていくことで、100ますのルールは何とかクリアできそうですが、
次の山は、繰り下がりがあったりなかったりする引き算への対応です。
Nちゃん、10進法もよく入っていないようなので
算数の授業で使うブロックの絵を書きながら、10の塊とバラの数を
意識させようとしたのですが、しばらくやってもどうも食いつきが悪いです。
13-7をするのに、
10-7=3をだして、それを10の塊のブロックのうえにかいておき
「のこりの3とあわせよう」
というと、
「さんじゅうさん?」
となってしまうので、指を使って仕切り直しです。
13-7ならば、
まず指で13を用意。
このとき私が十の位、10を担当。両手の指を全部広げます。
「一の位はNちゃんね。3だして。」
と二人の指を並べます。
ひゃくますの表を確認して、
「いくつ引くんだっけ?」
(ここ、指差してフォローします)
「なな」
「Nちゃんの指から取れる?」
「うーーん。とれない。」
「じゃぁ、先生の指から取るね。10から7とると・・・」
「3!」
「その3とNちゃんの指のをあわせると・・」
(このあたりは、実は言葉よりも手の動きで楽しみながら進めてます。
7と3が「73」になってしまうNちゃんに、「同じ指だから1本ずつ数えればよい」
という感覚を目で見て掴んでもらうためです)
「ろく!」
と答えがでたら、すかさず答えの欄に書いてもらいます。
さて、その隣のますは、
13-2
「Nちゃんの指から引けるかなぁ?」
「ひけない。」
「ホント?」
「あっ、ひける。1だ。」
「じゃぁ、先生の指と合わせていくつ?」
「えーと、じゅういち!」
という具合で、どんどん進めていきます。
こうやって、一問ずつやっていくうちに、最初の躓きポイントだった
100ますの計算の仕方と、答えをかく位置は自然にNちゃんの中で整理されていくのがわかります。
そうして、
「先生の指から取る?Nちゃんの指からとる?」
を繰り返すうちに、
「取れるものは一の位から。取れなかったら十の塊を使う」
という事が刷り込まれるのを狙います。
そうして、Nちゃんの最大の山。
3+3が「さんじゅうさん」になってしまうクセを、
実際の指を数える事で矯正したいんですね。
そして更にもう一段階。
この100ますが終わるまでに、できれば私の指がなくても
計算できるところまで持っていくことを狙っています。
だから、指だけじゃなくて鉛筆も使うんです。
私の指(十の塊)から引いたときには、必ずその数を
100ますの縦列にある(引く数)の横に丸書いて書いておくんです。
で、
「先生忘れちゃうから・・」
とか「先生指折るの面倒臭いから、さっき書いたのあったよね。」
とかいいながら、そこに書いた数に注目させるようにしておきます。
100ますって、計算がたっぷりありますから、
指遊びみたいに楽しみながら、Nちゃんが自分の指(一の位)だけで計算できそうか
様子を見つつテンポ良く進めます。
最後の1行に入るとき、
「じゃぁ、先生の指がなくてもできるようにしちゃおうか。」
といって、私の指はしまっちゃいます。
「あっ、でもその前にあれやっとかなきゃ。」
と、10から引いた数を私の指でやって見せ、これまでどおり引く数の横に丸で書き込んでおきます。
13-4
Nちゃんは3を指でだします。
4取れるかどうかみて「とれない!」
「じゃぁ、先生の指だね。でも先生疲れちゃったからさっき書いちゃったよね。」
これまでの私がやっていた事を見てますから、丸で書き込まれた数字にすぐ目が行きます。
そうして、
「6だ。」
といったNちゃん、じぶんのゆびを7,8,9と折って数えて
ちゃんと正解しました。
「ろくじゅうさん」じゃなくて、「きゅう」
これまでそこにあった私の指がイメージできるから、
6がただの6じゃぁなくなったのでしょう。
こうしてあと9問。
繰り返していくうちに、どんどんスムーズになっていきます。
終わったらとても気持ちいい挨拶をして、
2年生達がばらばらにしていった椅子も片付けて帰っていきました。
終わった後で、担任の先生にメモ書きました。
どんな事をしたかを簡単に。
そして、
「今日はよく出来て気持ち良く良く帰りましたが、たぶんまた忘れます。
繰り返すうちに身につきますので、できれば定期的に寄越してください。」
と。
1回で全てが解決すると思うから、焦ったり慌てたり大騒ぎしたりするんですよね。
本人の身につけやすいやり方で繰り返し繰り返し取り組んでいけば
そのうち必ず身につくからね。
1年で入り込んでいるクラスでつきっきりになるAくんは、9ます計算でも指で順番を示してあげるとできるけれど、離れると...
指を使う子で、5,10の塊でなく1つからしか数えられない子は大きな数を習い始めた今、どうしたものかと。
支援の方法がまだまだ乏しい悩みともう一つ、
どの学年も「教えてコール」に一人ずつ(数人一緒も)応えることがいいのかどうかずっと迷っています。一番必要な子の元へ行けないことがあるのはだめですよね。
現場に出て間もない頃から思うこと、支援員としてすべきことをはるかに超えている、つまずきに気づき学級で支援していくのは先生であるべきではと、誤解しないでくださいね。力は及ばないけれど今の仕事の内容は嫌ではないのです。ただ、困っている子たちの相手が私だけというのは全くおかしな話では。
久々にお邪魔してぼやいてしまいました。
私のやり方ですので参考になるかどうかはわからないのですが・・・。
「サポートは、その子が自分で『わかった』『できた』と感じられるのが目的」
と柱を決めていますので、基本的には「出来るようになるまで付き合う」
という方法をとります。
その間、他のお子さんから「せんせーい!!」の声がどんなにかかろうが、
「今はいけないよ。」または、「君は自分で出来るから頑張ってね」
と、後回しします。
自分の娘が、「声を上げられずに見捨てていかれる」タイプでしたので、そうなっている部分もあるのですが、「せんせーい!!」と声をあげられる子は、担任の先生や親にもキチンとアピールしているので、どこかで拾って貰えるんですよね。だから後回しにします。
例えば、ひゃくますの場合、計算がわからなくて出来ないのか、場所が見えなくて出来ないのか、そのあたりを子どもの目と手の動きを観察して見極めたうえで、その子の出来る方法を考えます。
指で順番を示すと出来るけど・・・という場合は計算はクリア出来ているのでしょうから、「見え方」に問題があるかもしれませんね。
その場合は、身近な道具を使って、本人一人で「見える」方法が無いかどうか探って見ます。
例えば、鉛筆を指代わりに使って、今やっている列の横においてみるとか、定規を当てて横列を見やすくしたうえで、縦列には自分の指を置くとか。
色んな要素が見えるとわかりにくくなるようなら、下敷きや教科書などで、他の列を見えなくするくふうをするとか・・・色々な方法でその子ができるやり方をさぐってみて(もちろん、これもすぐには出来ませんから、本人がやり方を掴んで自分で動けるようになるまで付き合います)、それでも出来ないようなら担任の先生に、
「今の段階では縦列横列が見えにくいようなので、普通の式の100問問題などを積み上げた方が良くないですか。」
といった持ち掛け方をします。
100ます計算は、計算力を高めるための物なのですから、ひゃくますであるがために計算練習が出来ないのなら、ひゃくますにする意味が無いからです。
自信をなくさせるだけの勉強ならしないほうがまし。そう思うんですよ。
5の塊が数えられずに1から数えなおす子の場合は、
機会を捕らえて一緒に指を使いながら、
「片手でご!」「両手でじゅう!」のやり方を繰り返し刷り込みます。
頭の中に指が「かたまり」ではいれば、それはその子の大きな財産になりますので。
でも、順数で増やして数えるこのやり方も否定しません。うちの娘はそれでここまでやってます。時間はかかるし効率的ではないけれど、それでも「できない」「わからない」を抱え込むよりは健康的だと思うから。
どちらの方法でも、筆算と組み合わせる事で足し算引き算は結構クリアできます。
低学年で、筆算を丁寧に見てあげたお子さんは後が楽です。
力の弱い子にとって、筆算は大きな助けになりますので、是非丁寧に繰り返し身につけさせてあげて欲しいなと思います。
「支援員として・・・」からのくだりで、
KIMIさんが感じていらっしゃる想いは、ものすごく良くわかります。
こんなに「こまっている子」を出しておいて、こちらに丸なげはないだろう・・・
という感じがする先生もいらっしゃいますしね。
何年か続けてきた私の対策ですが、宿題プリントの丸付けは率先してやって、その結果つまづいている子がある程度以上いる部分はメモなり口頭で先生にお知らせ、クラス全体で指導してもらえるように仕向けていきます。
授業時間でも、机間を回りながら、
「先生、ここのところはわかってない子が結構いますから、もう一度おさらいした方が良さそうですよ・・」
と情報入れて耳打ちします。
こどもたちのより近くで情報を集められる支援員。その情報を担任の先生に生かして使ってもらうために、ポイント絞って耳打ちして、集団指導で拾えるお子さんはなるたけ拾ってもらう。
そのうえで、こちらは「だまって困る子」「はや目にフォローしてあげる事が必要な子」「基礎の習得に非常に時間がかかりそうな子」に絞って手厚いフォローをしていこうと、そんな風に考えてやってまう。
ます計算は見え方の問題だと思い、seiさんの仰るように「自分でできる」方法を試してるうちに、いつの間にか授業ではしなくなって中途半端な状態のまま。2年で始まるまでにもう一度向かい合う時間が作ればいいのですが。
高学年で100マスに意欲をなくしていた子がいたので、先生に全部ではなく「今回はここまでできればそのタイムを記入してもよい」に変更してもらい、それ以来私とはいい関係(!)であきらめていた算数に取り組むようになったんです。
細切れでしか関われないとか、先生に話しにくいなど、ぼやいてる場合じゃないとわかってはいたものの,あらためて反省し大いに参考にさせていただきます。
来年度のことはわからないけれど、まだ時間はありますものね。
それが嫌なんですよね。私も良くそう感じます。
隙を見つけて、機会を捕らえて、拾っていく、
細切れの時間のつみかさね。
でも、それでも届いている物はあるはずです。
KIMIさんが関わってくれた子ども達に、必ず残っている物があって、そのあとの折々に生きてくる。
そう思います。
「諦めていた算数に取り組むようになった」お子さんも、よかったですね。そういうきっかけが、そのお子さんのこれからを替えていくんだと思います。
私たちのような仕事、確かに、まだシステムが整っていない感じはします。でも、だからこそ自分の裁量でこそこそっと動く事もできると、そんな風に思って私もやっております。