のんびり娘の脳みそが、どうも他の子と違うらしいと思ったのは、4歳を過ぎた頃だったろうか。実は、それ以前には「この子は天才かも?」って思っていた時期もあったのだ。
2歳から始めた英語教材。30分もある絵本のCDを丸暗記して、本の絵を指差しながら丸ごと一冊暗証してたのは、まだ3歳にならない頃だった。歌が大好きで、150曲近い歌もイントロから覚えて歌ってた。なのに・・・何故か「字」には興味を示さない。読み聞かせもいっぱいした。本も大好き。でも、自分では読もうとしない。
興味がでてくればそのうちと思いつつ、徐々に心配になってきた。お店で見つけるキャラクター商品に、「アンアンアン、とっても大好き。アンアンアン、とっても大好き。」と反応するのに、「ドラえもん」の一言が出てこないのも気になった。どうも、天才ではなさそうだ。
「うーーん、そろそろ字を教えていこうかな」と思って、初めに取り組んだのが、「つ」。「つ」の字を使ったツバメの絵を見せて、「これは、つ、だよ」「つ、だね」と、何度も繰り返し、一緒に書いてみせる。「つ」だけじゃ覚えたかどうかわからないから、合間に「く」をいれて、「これは、く、だ。こっちは、つ、だ。あわせると、くつ、だね。」なんてやりながら・・「つ」だけで100回近くは見せただろう。そろそろいいかと聞いてみた。
「この字はなんだっけ?」娘は可愛く小首をかしげ、少しの間の後こう言った。
「いま、かいたやつ!」