旅路 とまりぎ

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人工透析と保存療法

2011年12月16日 | 

 人工透析と保存療法

                      とまりぎ

 人工透析を回避できる「保存療法」について、椎貝達夫(しいがいたつお)腎臓専門医が文芸春秋12月号と1月号で書いている。

 腎臓の機能が低下すると、腎不全から尿毒症へ進行し死に至る。そうならないために人工の透析器で老廃物排出するのが一般的だ。ところが、この装置につながれる時間が週に三日各4~5時間というから、驚くほど拘束される。

 元となる病気は、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、膜性腎症、高血圧性腎硬化症、遺伝性の多発性嚢胞(のうほう)腎など。糖尿病性腎症は糖尿病の25%から50%が発症する。

 透析によって生活はできるが、血管壁にカルシウムが溜まり動脈硬化が起こりやすい。それによって皮膚が黒ずんでいる人を見たことがある。また腎臓の濾過機能が衰えて、排尿ができなくなる。

 一般的にある程度腎機能が低下すると、医者は人工透析への道を勧める。腎臓移植という方向もあるが、日本では700例程度しかない。

 椎貝医師は人工透析に頼らず、「保存療法」によって腎機能を維持しようとしている。保存療法ですべて解決できるわけではないが、少しでも自由な時間を大切にしたいなら選ぶべきだろう。だが、それぞれの患者を診る医者の時間がかかり、現在の保険制度では採算が合わないという医者側の問題も抱えている。

 それでも「保存療法」を受けることができる病院は、少ないがある。

 筑波大学付属病院腎泌尿器内科 山縣邦弘医師、土浦市 大石内科クリニック 大石明医師、守谷市 永瀬内科 永瀬宗重医師、取手市 椎貝クリニック 椎貝達夫医師、東京医科大学病院腎臓内科 中尾俊之医師、東京共済病院腎臓内科 神田栄一郎医師、横浜市 昭和大学藤が丘病院腎臓内科 吉村五志夫医師、社会保険横浜中央病院腎臓・人工透析内科 海津嘉蔵医師、飯田市 健和会病院腎透析 熊谷悦子医師、名古屋市 大幸砂田橋クリニック 前田憲志医師、熊本大学医学部付属病院腎臓内科 

 だいたい月1回の「保存療法」の診察は、血圧と血液検査から尿素窒素、クレアチニン、尿酸、24時間蓄尿からクレアチニンクリアランス、蛋白摂取量、蛋白排泄量など最低でも12種類の指標を見た上で、患者の健康状態、食生活や生活習慣の変化を把握し、腎臓の状態を総合的に判断しなければならない。

 患者が次に通院するまでの食事療法、処方すべき薬、改めるべき生活習慣を指導する。長いときは30分以上の診察時間が必要になる。

 人工透析の人と何人かに会った。健康そうに見えるが、透析器につながれることでの不自由さは当人にしかわからない。

 以上が文芸春秋に記載されていた概要と、実際に会った人の話を少々付け加えた。

 

 

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