三筋北陸・ワインダー(糸捲き機)の専門機料店

繊維産業のウラ話に迫る、メンテナンスのお気楽日記。

メンテお気楽日記 5月2日 定長(定量)装置

2018-05-02 | メンテナンスお気楽日記
又また「定長」の問い合わせです。正直なところ、もう、勘弁して欲しいくらいの気持ちです。

そりゃ、機台のベアリングや接圧調整によっての「誤差」も原因の一つだろうが、決して、そればかりとは
言い切れない。糸の張力によっても誤差は出るし、紙管の重さの誤差だってある。もっと細かい事を言えば
湿度による、糸の巻き量にも、日々の変化がある。

それを、各錘ごとのデーターを取り、「5g10gの誤差があるから、何とかしろ」と言われても・・
たとえ、ベアリングを全錘交換しても、誤差は発生すると思います。誤差率が下がるだけです。
ま、検査・確認する意欲と実行は、大切で、おおいに認めなければならない。


まず「定長」「定長」とは言ってはいるが、大半は「定重量」です。加工指示は「何g巻きを何本」って事です
まさか、検尺器で一本一本チェックする業者もいないだろうが、工場の方も「何g巻きを何本」として出荷します。

だから、カウンター装置に頼らずとも、ハカリによるチェックも可能。只、人員手間は必要です。
タイマー装置も「60秒で何g巻けるとしたら、250g巻くのに何秒かかる」の計算が出来ます。
各種の定長装置方法もありますが、検査はすべて「重量確認」でチェックされている。


もし、高価な?カウンター装置付きのワインダーとしても、誤差は発生します。ローラーの不具合はなくとも
分割給糸の外層・中層・内層では、糸の伸び率が違ってきます。外層は解除抵抗によって糸が伸びる、内層は
伸びた糸のクセが残っている。カウンター数値が同じでも、中層給糸の糸が一番長い結果が出ます。

エステル細番手の場合は、湿度によっても誤差がでます。ローラーのスベリ率が違って来るからです。
工場環境によって、糸の長さも違ってきます。燃台の横(乾燥)で作業をすれば、残糸率の高い製品になります。


ともかく、幡屋さんや整経屋さんとすれば、定長の糸が欲しい。足りなければ大問題です。
しかし、残糸はいらない?残糸は残糸で、諸問題が多い?糸商にとっても、残糸ロスは計算していない。

撚糸屋さん、巻き屋さんも決していい加減な仕事をしているハズもありません。出荷前には重さを確認
段ボール箱には何㎏のシールを貼って、自社の名前も書きこむ。自信があるから出荷出来るのです。

しかし、思い込みとは言わないまでも「事故」は発生します。
例えば、紙管の重さの3~5gの誤差が、製品の誤差として出荷される。中古紙管を使わざるを得ない為
起きた事故でした。おやじは30gの風袋を計算して出荷したが、結果は事故糸扱いでした。


何度も言うように、糸長が足りなければ「事故糸」であり「誤差」です。
余分糸をオマケとは言わないまでも、「余裕」と捉えることは、出来ないのだろうか?

生活すればゴミが出る。ものづくりをすれば端材が出る。それも道理です。
ただ、ゴミを少なくする努力は、必要かとも思います。

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