三筋北陸・ワインダー(糸捲き機)の専門機料店

繊維産業のウラ話に迫る、メンテナンスのお気楽日記。

メンテお気楽日記 5月10日 糸クズ事故

2018-05-10 | メンテナンスお気楽日記
繊維機械事故の原因の何割かは、糸クズの巻き込みによるものです。
電気関係の事故を50%とすると、約30%は糸が原因、機械自体は意外と?丈夫です。

今回は、糸道に出来るガイドキズや摩耗。風綿対策は、別問題として考えます。

巻き込み事故で目立つのは、シャフトやドラムに糸を巻き込んでしまう事故です。
女工さん?によると「目を離した時に限って、巻き付いてしまう」なんて、言い訳も聞こえてきます。

巻き込みが少ない時は、別に気にも留めない人も多いが、巻き込み量が多くなれば、他部品と接触し、熱を
発します。回転に負荷が掛かり、モーターサーマルが機能すれば良いが、意外と高アンペア仕様です。

まず、摩擦熱で糸が解け始めれば、臭いがします。化学繊維の場合は、解けてプラスチック状になります。
ここまでで気が付けば、修理依頼もあるが、風綿が添加剤となった、火災事故もあった。ただ事ではない。

人身事故も起こります。ピンと張って走っている糸は意外と?丈夫です。摩擦熱による火傷ならまだマシも?
指を切断した例もあります。骨折して指ギブスで仕事をしている女工さんもいました。


繊維工場の糸クズ巻き込みで、みんなが、まず困るのは、台車の車輪に絡む糸クズです。
どこに、こんなに糸クズがあったのか?と思うくらい巻き込んでいます。だから、繊維工場では、分解できる
車輪キャスターが必需品となっています。カシメキャスターは結局、安物買いの・・・になります。

品質管理面で言えば、まずクレドール部の紙管押さえのフランジ用ベアリングですが、これは相当回りが
悪くならなければ、気付かない。分解すれば、見事に?糸クズが絡まっている。

以前、定長装置の誤差についても記事にしたが、原因は同じです。今日、ベアリング付きガイドの整備を
したが、分解したらミニチュアベアリングに糸(フィラメント)が絡まっている。こんな処になぜとも思う
箇所です。でも、フィラメントが輪っかになって、ベアリングの隙間に絡んでいる。

定長装置のリールベアリングの修理?が一錘2000円以上と聞いて、へぇーって返事をしていたが、
分解・清掃・点検そして交換。手間を考えれば納得もする。これが、100錘200錘だから、呆れたわけで
日ごろの観察・管理(目が届いている)があれば、そこまでいくことも無いだろうとも思う。


今、一番足りないのは、機械を、作業を、そして製品を「観察」する人間の目と感覚、それと手間かも知れない。
人のことをとやかく言う前に、機台停止のタイマーを組んでいる自分にも、その一端はある。

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