大奥

実は私、自慢じゃござんせんが「大奥」、一度も見たことありません。平和主義の私、女の争いなんぞ見たくもございませんしね。いやーー、どうしようかなっと。などと思いながらも西島君出るんじゃ、おばさん見に行かないと！おまけに題材は「絵島生島事件」ということで、ハイ見に参りました。

いいんじゃないっすか～。どうせ作るんなら、このくらい絢爛豪華にしちゃって。お城出てきた瞬間、「姫路城じゃん」とか思ったり、「あの渡り廊下はどこで撮ったんだ？？」とか「ユキエちゃんの打ち掛けの柄、すごい！」（あの金魚の柄は凄い）とか「浅野ゆう子が一番あの色似あっとる・・・」などと、どうでもいいところにばかり目が行きます。だってストーリーをマジに追ってたってしようがないし。

話はよーーく知られた「絵島生島事件」。今までもさまざまなところで描かれてきたので、今さら繰り返すこともない。この事件にかこつけて華やかになりし街方の綱紀粛正を取り締まったといわれる。幕府内での権力争いがその原因とも言われているが、そんな真相分かるわけがない。「実は陰謀だったんです」とは絶対に言えない。いろんな推理を総動員して、どろどろの権力争いの話にしやすいものなわけだ。

歌舞伎に、お寺参りに大奥の女衆が華やかにして街を歩く。陰謀に足の引っ張り合いに、純愛にということで、映画的にはバッチグーだったのではないでしょうか。ただ一点、ネックだったというか、私の一番の目的だったというか、コレが見たくて行った西島君。何をどうひっくり返しても歌舞伎役者には見えんなあ、と思っていたのですが、舞台のシーンが少なくてホッ、でした。

最後のあたりはまるで史実無視。妙なところを史実にして、肝心なところは史実無視。この辺のバランスの悪さは結局ＴＶ向きの脚本の所以でしょう。ということで、西島クンたっぷり見れたので満足。（あたしは一体何を見に行ったのか・・・。実際のところ、このとき生島新五郎は、映画の中でも言われていたとおり、かなりのオッサンです。なので純愛と言われると無理がある・・・・）

北村一輝が彼らしくなかったのがちょいと不満。あの天英院が、一言で悟ったような心変わりするとは到底思えないし、突っ込もうと思えばいくらでも突っ込めるのですが、まあお正月ということで、良しとしましょう。何はともあれ、杉田かおるが絶品。最近、演技してるところをあまりみてなかったせいもあるかもしれませんが、やはり彼女は凄い女優です。

『大奥』
監督　林徹
出演　仲間由紀恵　西島秀俊　井川遥　及川光博　杉田かおる　松下由樹　浅野ゆう子　高島礼子