渡辺えり講演会

長男の通う中学校で、創立５０周年の記念事業の一つ、講演会があった。今年は、きっと渡辺えり子だろうと、親たちは早くから言っていたのが、どんぴしゃ。身内が先生でいるもんで・・・。
ということで、講演会を聞きに行った。演題は「夢見る力」。

生の舞台は一度見たことがあるのだが、あの舞台のエネルギーの凄さに圧倒されて、ものすごい人だとつくづく思った。どんなお話を聞けるのかと、ちょっと楽しみだった。

さて、長いこと渡辺えり子となじんできたのだが、改名をしたそうな。標記の【渡辺えり】と。この改名一つをとっても、そこからいくらでも話が膨らんでいく。

女性が名前が変わるということは、結婚すれば当たり前のように思われているが、それがいかに面倒くさいことか。煩雑なことか。一方的なことか。なぜに女性にばかり、そんな面倒くさいことを押し付けるのか。

ここにいる男子生徒の諸君には、苗字が変わっても差し支えないと思っていたら、ぜひ変わる方を選択してほしい。いかに日本という国は、女性が生きにくい国であるかということに発展する。

女一人で劇団を立ち上げて、座長を務め、何もかにも彼女が一人でやってきたのだと想像するが、それがいかに大変なことだったのか、ということを容易に想像させた。

で、本人の名前の改名のきっかけになったのが、美輪明宏さんからのすすめ。元の名前は苦行僧がつける名前で、よくない。このままだと、病を経て死んでしまうぞと。ちょうどひどい病気をしていたときで、後押しされた。子供でもなくなったし、子をとっちゃっても大丈夫だろうということで、改名したそうな。

で、美輪さんの話から、苦行僧の話からいろんなことに発展して行く。美輪さんのすごいところは、絶対に戦争はだめだという考えを貫いていること。彼が歌う「従軍慰安婦の歌」にも、それが表されている。

ちょっと現在、変な風にクローズアップされているが、彼のすごいところは、弱いものの立場を大いに応援しているところ。その彼の言葉だったので、従ったとか。

自分が中学校時代の思い出話なんかも面白い。学校まで片道３５分かかったので、その間、歩いているときに、さまざまな考えが浮かんでくる。道すがらいろいろ物語を考えて、家に着くまで完結させる。もうすぐ家だと言うのに、終わらないときはその辺を一周してから帰ったり・・。その辺が、いろんなものを生み出す脚本家としての始まりだったのかなと。

で、当時の中学生は少年と言えども、女子を守り、たくましかった。女性は男性が守ってららなければならないものとして動いていた。夜遅くなったときなど、ちゃんと送ってくれた先輩。うーん、そうだったかも。いまどき、遅くなると、すぐに車で迎えに行って、さまざまいらぬことを心配して、夜道をとぼとぼ歩くなんてこと、しないものな。物騒な世の中と言うのは、さびしいものだ。

とにかく若い男子に女性を大事に。女性とは本来、肉体的に弱い生き物。精神は強いかも知れないが。でも、物理的に弱いものに対して、物理的に強いものは守ってやるべきである。それをぜひ、今から男子には実行してもらいたい。いい大人になってから、いきなりレディ・ファーストしろ、などといわれてもそれは無理。そういうやさしい気持ちを持つことが大事だと力説されていた。

そのあとは、中学生からの質疑応答。きっと中学生たちは、彼女の一番すごい姿、舞台の姿を見たことがないであろうから、TVの元気なおばさん役みたいなものしか知らないのだろうな。惜しい。彼女の真骨頂は舞台。質疑応答なんかより、一つ舞台を見るとすごさがわかるのだろうが、それはできないのでしようがない。

結構、臆面のない中学生はいろいろなことを質問していたが、それに対してきちんと答えていたのが大人だな。

一つのことから、さまざまなことに展開していく幅の広さと、今まで生きてきたことから培ったものを、楽しく、そして一所懸命に伝えようとする気持ち。これが十分に伝わってきた。なかなか有意義な時間だった。

書き忘れ。
戦争が絶対ダメな理由。戦争は誰もが持ってるたったひとつに命が軽く扱われてしまう。そして、命に値段がついてしまう。どれも同じ命のはずなのに、財産や、住んでる所なので、「こいつは死んでもいい・・」と思われてしまうこと。絶対に戦争はダメだ！と力説されていた。