最初はSAH

2000.11にくも膜下出血(SAH)発症。無事後遺症もなく生還。今興味あること:脳のこと,教育のこと,テニスのこと

未破裂脳動脈瘤手術と後遺症

2008-09-30 10:58:14 | くも膜下出血
脳動脈瘤というものは、本当にやっかいなものだ。
脳の血管の一部が風船のように膨らんでしまう。
破裂すれば、くも膜下出血となり、命を落とすこともある。
たとえ命は助かっても脳であるから様々な後遺症が残り、その後の人生が大きく狂うこともよくある。

最近ではMRIが普及して、破裂前の脳動脈瘤を見つけることができるようになった。
そして、破裂しないうちにこの脳動脈瘤を潰してしまうこともできる。
開頭して瘤の根本を金属クリップで挟み、瘤に血液が流れ込まないようにして潰すクリッピング。
さらに頭を開けなくても血管にカテーテルを突っ込んで瘤の中にコイルを入れて瘤を埋めてしまうコイリング。
瘤が無くなればくも膜下出血にはまずならない。
そこで、脳ドックで脳動脈瘤の有無を調べる検査をを受けることを勧めている。

未破裂で見つかれば、もう脳動脈瘤も怖くない。

ところが、そんな簡単な話ではない!

脳は人間の運動、感情、思考などすべてを司る器官だ。
ほんのちょっとしたことで、影響が出る。
未破裂で見つかっても、大きさ、場所、形などにより、
手術はそう簡単にできない事がよくある。
そして、手術は人間の手で行う。執刀医のスキルも影響する。
でも、神の手といわれる天才脳外科医でも人間である以上は、
絶対にミスがないとは言い切れない。
手術中に予想外の事態が起こることだってある。
また、未破裂脳動脈瘤は必ずいつか破裂するかといえば、そうではない。
未破裂のまま年老いて、最後は別の病気で亡くなることもある。
しかし、破裂の危険性はたしかに大きいほど高い。

自分の頭に脳動脈瘤があることがわかったらどうしますか?
それはもう心配になりますよね。
とくに大きさからして、破裂率が高いといわれたら…

私のサイト“しぶとく生き残るためのヒント”のBBSやこのブログを訪れたかたの中にも、
多くの方がこの未破裂脳動脈瘤がみつかり、どうするか迷っていらっしゃいます。
経過観察を選ぶ人もあり、手術を選ぶ人もあり様々です。
手術をする場合も開頭クリッピングにするか、コイリングにするかそれも様々。

そして多くの方が、無事後遺症なく瘤を潰すことに成功している。

しかし、以前ブログにも書いたが(「未破裂脳動脈瘤手術」)
手術の結果、後遺症が残ってしまった方もいる。
最近MyサイトのBBSにいらしていたameshoさんが手術(7.5㎜)の結果、
右目の視力を失ってしまったことを書き込んで下さった。

巨大脳動脈瘤でこのまま放って置けば、ほぼ間違いなく破裂するだろうという場合、
後遺症が残る可能性が高いことをはっきり言われていた場合、
ご自身であるか、自分にとってどれほど大事な人であるか、
年齢、生活に影響する度合いなど、
場合によって後遺症の残った受け止め方は違うとは思うが、
未破裂脳動脈瘤の手術は、簡単ではないことをはっきりと自覚して受けた方がいいと思う。



コメント (94)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 東レパンパシフィック・オープン | トップ | 皇居 »
最新の画像もっと見る

94 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
開頭手術は・・ (hosiurara)
2008-09-30 23:21:51
人間の重要な器官に手を入れるのだから、それなりに神経を傷つけてしまいます。
私は、椎骨動脈という血管からの出血でしたが、後頭部を大きく切開しました。
当然、開いた部位の神経は切断され、4年経過したのですが、まだかなりの部分が感覚ありません。
また、目の奥に出血部位があったので、後頭部を切開し神経をかき分けながら開いていくので、それなりに神経も傷ついたりします。

手術で後遺症が残らないのは稀有な事ではないでしょうか?


■余談
私のケースですが、瘤はなかったのですよ。
解離性くも膜下出血で、前触れも無くやってきました。健康状態も健常者の上のほうだったかもしれません、そんな くも膜下出血もあったりします
返信する
hosiuraraさん (mayako)
2008-09-30 23:52:52
コメントありがとう!
解離性くも膜下出血は脳動脈瘤破裂のくも膜下出血とは違うのですね!

頭の手術、とくに開頭手術は神経や筋肉に傷が付くから、
何らかの影響が出ることは必ずありますね。

生活にどの程度影響を及ぼすかですよね。
返信する
脳動脈瘤 (JUP)
2008-10-01 00:31:46
mayakoさんのBBSを昨日、ちょうど覗きました。

未破裂脳動脈瘤の破裂より、手術時の後遺症率が高いとする話もあります。

私もお医者さんの言葉から始まって手術をし特に後遺症は、ありません。でも再発の可能性を指摘されました。・・・(素直に受け入れるしかなかったのですが)

やっぱり頭の手術、慎重になっても不思議じゃないのに簡単に見つけられると、かえって大変になるのかな。
返信する
後遺症を受止める時間 (marine1964)
2008-10-01 00:54:10
後遺症を受止めるのは、とても辛い事ですよね。

私も手術前にこちらのブログで後遺症の方の書き込みを読んで、私も起こるかもしれないと覚悟するにはかなり悩みました。
BBSの方の視力を失った書き込みは読んで胸が痛みます。
私も手術後左瞼が全く開かず、視力ももちろん失っていたので、ameshoさんのお気持ちもよく分ります。
脳外科医も眼科医も不自由になってしまった左目が今後どうなっていくのか分らない状況だったのです。
回復するのか、このままなのか・・・。

それが時間と共に、1mmずつ瞼が開き、視力が少しづつ回復してきました。でも回復と共にひどい斜視になり、見え始めた頃の方が目を開けているのが辛かったです。それもある日突然回復し、今は随分良くなりましたけど、見えない時もあります。
術後の後遺症はこんなふうに症状が変わっていくケースもあります。

そんな自分の状況を受止めていくというのは、時間がかかりますよね。

返信する
本人にしか・・・。 (シュウ)
2008-10-01 10:31:04
BBSでameshoさんにアドバイスをしたので、あえて、書き込みさせていただきました。
まず、今回、どうしてこんな展開になってしまったのかな?ということです。
私は、決して裁判をお勧めしている訳ではありません。
手術は人間がやるものだから、リスクはつきものだとは思います。
ただ、働き盛りの一人の女性が被った事実に対して、病院側があまりにも誠意のない態度を示しているから、彼女の怒りがおさまらないのだと思います。
事前に、この手術をすれば、こんな後遺症が出る場合があるとか、予定していた手術でもリスクはあるといった説明・・たぶん、どの病院でもある程度の説明のうえ、同意書に記入してもらうといったことになるとは思いますが。
そういった説明がどの程度なされていたのか・・・。

弁護士に相談というと事が大きくなりそうですが、すぐに裁判ということではなく、弁護士が病院側と接触して、双方が歩み寄って事を決めることも出来ます。
個人対病院では、知識面でもかなりの開きがありますので。
いずれにしても、本人にしてみれば、今かなり辛い状況だと思います。
結局、本人の気持ちは本人にしかわからないと思うんです。
良い方向へ進まれることを願っています。
返信する
シュウさん (mayako)
2008-10-01 12:01:30
確かに話し合うにしても、病院側も直接医師とはゆっくり話せる時間もとりにくいし、
まず、自分の気持ちを相談して整理することは大事ですね!
ネットでは気持ちの行き違いも多いし、
直接話し合えるカウンセラー制度のようなものが
各病院にあったらいいのかもしれませんね。

それがないわけですから、弁護士に相談するのも手かもしれません。
でも、弁護士でもカウンセラーではないので、
「あなたはどうしたいか、どんなことを相手に求めるつもりか」
と聞かれたりします。
(人にもよるのかもしれませんが…私が遺産相続で相談に行った弁護士はそんなかんじでした)

う~~ん、ただ、相手(執刀医)を責めても決していい結果はないような気はします。
責めるのではなく痛みを共有してほしい、そして、一緒に対策を考えてほしいという態度は必要だと思います。

まとまらない話ですが…
返信する
Unknown (まい)
2008-10-01 16:45:24
本当に難しい問題ですね。
私は,くも膜下出血と未破裂動脈瘤と2回クリッピング手術をしました。
両方とも目の神経のすぐそばだったらしく,7時間も手術時間がかかったそうです。
手術後は目が凄く腫れました。
熱も40℃ぐらい出てしまい,辛かったですね。
でも,今は後遺症もなく普通の人と同じように生活をしています。
だから,あまり自分は悩まなかったですけど,後遺症が残ってしまった話しを聞くと,怖い手術だったんだとあらためて思います。
私はいい医者に恵まれて,運が良かったのだと思います。
もし,また未破裂動脈瘤が出来て,手術するかと聞かれたら,凄く悩みます。
もうあんな辛い思いをしたくないし,今度は後遺症が残ってしまうかもしれません。
でも,もし後遺症が残ったとしても一生懸命手術してくれた医者を私は恨まないと思います。
後遺症が残るかもしれない手術だと覚悟して手術をするべきだと私は思います。


返信する
難しいですね。 (amesho)
2008-10-01 18:35:07
皆さんのコメント、色々考えさせられます。
私は今回の件は、後遺症ではなく医療事故ではないかと考えているんです。
動脈瘤があった場所もさほど目の近くでもなく、術後も執刀医に右目が見えないと何度も訴えたのですが、「目の神経は、触ってないので一過性のものだと思います。」とのこと。
でも次の日、眼科の検査の結果、目の血管の動脈を切断したらしく、目の細胞が死んでしまったらしいということですが、それもハッキリとはわからない。
結局のところ、病院側も原因がわからないんですよね。
その説明で「後遺症です」と言われても納得できませんよね~普通。。。
でも、みなさんの意見とっても参考になりますので、これからも勉強させてください。
返信する
思い出しました! (mayako)
2008-10-01 22:36:31
ameshoさんの話を読んで思い出しました。

一昨年48才の若さで亡くなった永田和哉先生という有名な脳外科医の先生が、
“脳と健康のホームページ”というサイトを開いていらっしゃいました。
先生はそのサイトの掲示板にまるで手術室から書き込んでいるかと思われるほどの
臨場感のある記事を書いていらっしゃいました。
ある時、
「聴神経腫瘍の手術をして、自分は聴神経を全く傷つけずに上手く腫瘍を摘出できたと思うのにどういうわけか聴力が出ない、何故だろう?わからない…」
と書いていらっしゃいました。

ameshoさんのケースがこういったものかどうかはわかりません。
事故だったのかもしれません。
でも、脳ってわからないことだらけのようです。

返信する
私も…長いひとことです (makizushi)
2008-10-02 01:30:22
mayakoさん、こんばんは。
ご無沙汰をしていますが、くも膜下記念日が
同じ日のmakizushi、といえば
思い出してくださるかな?

今回の『後遺症』についてですが、
私にもこんなことがありましたので、ちょっと
ご報告。でも、ameshoさんのことは詳しくわからないので、何となくこんな例もあるんだって感じに
読み流してください。

私の場合、初めに担ぎ込まれた病院のMRIでは
脳動脈瘤の場所が不明でした。
ただただICUから一般病棟に移されて
説明はおろか回診すらない状態(スゴイ怖い)
そんな時、左手の指に『しびれ』を感じたのです。

当然、後遺症を疑い看護師さんに伝えましたが
これといった説明も治療もなし。

そうこうしているうちに
二度目の出血が起こり、転院して
開頭手術を受けました。
転院先でも、左手はおろか、左半身全体に
広がってしまったしびれについて
何度も訴えました。
頂いたのは、『寝違え』かもしれない
とのことで、湿布。

退院しても、しびれは一向に取れません。
ひどくなる一方。
担当医は「そのうち取れてくる一過性のものと思う、後遺症は考えにくい」の一点張りでした。
しかし半年経った頃、
『こんなに長くしびれがとれないということは、
後遺症と言っても良いかも知れない』とのこと。
それなのに、痺れを和らげるための手立ては
もちろん治療も何一つなかったんです(驚)
ついに、一年半ほど経った頃、専門外だ
と言われてしまいました。
ならば、総合病院の利点を生かし、他科受診を
勧めてくれるのかと思いきや、
全くなし。。。
それほど、ご自分の手術には絶対の自信があったみたいです。
ありがたいんだけど、何だかなぁ。

そんな時、たまたま昔の友人と二年ぶりぐらいに
電話で話をしてみたら、
私がくも膜下を起こしたことを話すよりも先に、
『腕がしびれてしびれて、手に全く力が入らない
どころか、腕に一切力が入らなくなってしまって、
整形外科に行ったら頚椎のヘルニアだって言われたよ』
という話をしてくれました。
つまり、私の場合も、あらためて別の病院で
『首』のMRIを撮ってもらったところ、まぎれもない
『頚椎のヘルニア』だったのです(そう、専門外という無情なひとことは当たっていたのです…涙)
しかし、その病院の先生は、
専門が整形外科と脳神経外科でもあるため、
くも膜下の後遺症はやはり考えにくく、
頚椎のヘルニアだと
初診でMRIも見ないうちから予測をたててくれて、
MRIを見せてくれながらの説明も
非常に分かりやすく、現在はその病院で
牽引と低周波の治療をしていただき、
3ヶ月でずいぶん良くなってきたところです。
複雑な気分。珍しいパターンでしょ?

なんというか、『脳』というのは
やはり特別だから、同じ大学病院の先生では
似たような診断や判断になってしまうのではないかと
思います(何人か他の先生にも訴えてみたのですが誰一人頚椎のヘルニア…どころか、首のMRIすら、
撮ってみようか、とさえ言ってくれませんでした)
また、
いくら訴えても肝心の担当医に分かってもらえない、
という不安はとにかくたまらないものでした。
でも今は、違う先生に診てもらって良かった
という思いでいます。そうするまでは
セカンドオピニオンということも考えましたし、
どんどん悪く考えてしまって、
手術が実はミスだったんじゃないの(生きてるのに…)とか、良くないスパイラルにはまりました。
そんな私がやったことは、その症状に特化した町の病院に一番困っている症状と、くも膜下を起こしたこと
との関係性について、診察をかねて聞いてみる、
というもの。準備するものもなくて済みますし、
手立ての一つとして参考にしてもらえたらな
と思います。

やっぱり、命は助かったのですから…。複雑。
『助かったんやから後遺症ぐらい』って人に言われるのが一番辛かったもの。やっぱりいやだし…健康な人がただそれだけで羨ましいし。気持ちが疲れる。

長々と、どれほどの参考になるかは分かりませんが、
とにかく不安は少しずつ安心へつながるアプローチをして、軽く、小さくできるようにお祈りしていますね。


ではおやすみなさい。



ちなみに季節の変わり目には手術したところを中心に
頭の皮膚が肩こりみたいにコリますよ、しばらく
やっかいな季節です。









返信する

コメントを投稿

くも膜下出血」カテゴリの最新記事