時のうねりのはざまにて

歴史小説もどきを書いてみます。作品と解説の二部構成で行こうと思います。

全成の出家名

2008-02-02 05:47:19 | 源平時代に関するたわごと
ここで書いている小説もどきでもご登場いただいている全成さん。
彼の周囲をみていてあることに気が付きました。

彼の近い身内の男性を挙げてみると

本人  全成
同父弟 円成
異父弟 能成

というように義経以外の同母の兄弟の名前に「成」の字が含まれています。
(ただし全成には隆超、円成には義円という名前を名乗った時期があるようですが)

この「成」の字ですがどこからとったのかといえば
全成の母の再婚相手「一条長成」からとったのではないのかと思われてなりません。(能成にとっては実父)
全成は出家者名ですから、俗世間の常識がどこまで通用するかわかりませんが
「成」の一文字は義父長成からとったのではないのでしょうか。
なお、能成はこの名前で官位を得ていますから出家者名ではありません。

(当時の世俗の人の成人名は 父や先祖から一文字+烏帽子親などから一文字
とってつけるというのが多かったようです。
例 北条頼時(泰時の前名) 烏帽子親源頼朝から「頼」+北条の通字「時」)

さて、そうなると一つのことが想起されます。
出家当時実父の義朝から一文字とることがはばかられるという社会的な事情はあったでしょうが、長成から一文字をもらった、としたならば
長成は全成、円成といった妻の連れ子にも「父」としての役割を果たしていたのではないのかと思われるのです。
少なくとも子供達に対して「おれには(そんなんの)かんけいねー」という冷ややかな態度を取ることはなかったのではないでしょうか。

だとすれば、全成も円成も義父長成の庇護のもと意外と幸せな少年時代をすごしていたかもしれません。

ps ここのところ、続きが全然書けていない小説もどき
  頭の中の整理が終わったらまた再開する予定です。

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