温もり

週末母の施設に行って1時間ほど過ごしてくる。行けない時もあるので毎週ではないのだが最近は寒いので会ってすぐ私の手を母が触れると、あら冷たい手だねえ、と一瞬びっくりして、その後は私の手をしわくちゃな手で一生懸命さすってくれる。



まだ母が元気で家にいた頃、うちの子供達が外から帰って来ると、冷たい手してるねえ、とさすっていたのを思い出す。認知症のような状態になりだんだん子供のように退化しているように見えても、こういう時、ああ私の方が子供なんだよなと一瞬思う。



認知のようになってから、手をさすったり、背中を撫でたりすると安心したようなホッとした緩んだ顔をする。たまに酷く気分が落ち込んでいるような無気力な時が（最近はほとんどいつもそうだが）あって、そういう時は背中を赤ちゃんを寝かせる時のようにトントンとたたいたり、さすったりするとさらに甘えるように体を寄せてくる。多分子供のように甘えたいのであろう。



元気な時はそんな事は無かった。うちの娘は高校生になった今も、たまにママぎゅーして、と言って私にくっ付いて来る。子供じゃないのだからと言うが、まあ愛情表現なんだろうからと軽くハグみたいにしてやる。多分そうすると落ち着くのだろう。



犬や猫が飼い主に撫でられるとウットリするように、人間も気を許した人に触られると落ち着くのだろう。認知症の人にも赤ちゃんみたいにタッチセラピーというのがあるそうだ。手の温もりは人を安心させるのではないか。


耳も遠いし話もトンチンカンなので話すことはあまりないのだが、手はいつもさすって来るようにしている。