星を見ていた。

思っていることを、言葉にするのはむずかしい・・・。
良かったら読んでいってください。

眠り男(6)

2014-02-15 13:16:05 | 眠り男

仕事から帰り玄関を開けると「おかえり!!」と妻の元気の良い声がした。奥から出てきた妻はスウェットの上下を着て、玄関にはスニーカーが出してあった。


「今日は仕事早かったからさ、一緒にこれから走ろう。」


僕はちょっと気後れし、正直面倒だなと思った。仕事が早かったとはいえ中々忙しい一日だったのだ。今日は外回りを一日したし余計に疲れてもいた。


「今から?」


僕はあまりスポーティではない妻がこんなスウェットを持っていたのだと頭の隅でぼんやり思った。


「明日休みだから今日はちょっと疲れちゃってもいいじゃない。行こ行こ。」


リビングに入ると僕の分のジャージも用意されていた。いつもジムに来ていくやつだ。


仕方なく僕はのろのろとジャージに着替えだした。


「ビール冷やしておいたからさ。ご飯も支度してある。終わったらすぐシャワー浴びてご飯に出来るよ。」


まあビールと言っても最近は糖質オフの第二のビールなのだが。妻の笑顔には悪意は全く無かった。きっと妻も僕のジョギングに付き合うべく仕事を早く終わらせてくれたのだろうと思った。


 


家から20分ほどのところに運動公園があり、その外周がジョギングコースになっていた。僕たちはウォーミングアップでそこまで歩き、その外周を走り出した。


ここで定期的に走っている人が案外いるらしく、僕たちの他にも数人がもくもくと走っていた。


「私遅いから、私に合わせなくても早く走りたかったらいいよ先に行って。」


妻はそう言ったが、週末のジムやプール通いだけしか運動していない僕だって早く走れるわけはない。しかも僕は最近の体重増加で体が重くなっていた。


「いや、走るのなんて久しぶりだからいいよゆっくりのが。」


僕たちは最初たわいもないことを話しながら走ったが、そのうち苦しいためか話すネタが尽きたためか無言で走った。はあはあと息を吐く音と、時たま道路を走る車の音だけしか聞こえない夜の町で走るのは、なかなか新鮮なことだった。


妻は走る早さこそ遅いが、スリムな体型でもあり走るフォームは綺麗だった。学生時代は運動部ではなかったはずだが意外と長い時間走っても根を上げない。


「結構走れるんだね。なんかしてたの?」


息を切らしながら尋ねてみる。


「私子供の頃、兄が喘息持ちだったから、喘息にはマラソンするのがいいってことで毎朝家の周辺をジョギングさせられてたの。兄のついでに。」


「そうなんだ。」


妻の兄とは以前一回しか会ったことが無く、あまり仲が良くないようで印象がない。


「私短距離はダメなのよ。いつも徒競走ってビリで。でもマラソン大会とかは案外いけたんだ。って言っても徒競走よりは普通に走れるってレベルだけど。水泳もしてたしね。」


そういえば妻はたまにジムのプールについてくると、やはり早くはないのだが綺麗なフォームで泳ぐことができた。ゆっくりならかなり長い間泳ぐこともできるようだ。


僕たちはちょっとした休憩を挟みながら1時間ほどゆっくりと走った。汗をかいた後夜空を見上げると星がきれいに見えた。星なんか見るのは随分と久しぶりなので「ねえ、星がきれいだよ、見て。」と妻に思わず言うと、「うーん、今日はちょっとあんまり見えないわね。」と妻はしれっと言った。「私毎日星見てるんだ。星を見てから家の玄関入るんだ。」と空を見上げながら言った。妻の横顔を見ながら、僕の知らない妻についての小さなことが意外とあるのだ、と思った。




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両国へ

2014-02-13 08:32:58 | つぶやき

車の1年点検をした。朝預けてコーティングもしてもらうので夕方出来上がるという。車屋さんから家に帰るより駅に出たほうが近いのでそのまま出掛けようと思った。「代わりにマーチお貸ししますよ。」あ、そうか、代車借りれるのか。でもこのところ引きこもりに近い状態なのでせっかく出掛ける気になったのだからと車はお断りして出掛けた。

行ったのは江戸東京博物館でやっている「大浮世絵展」。浮世絵が好きなのです。両国、も行ったことがない。田園都市線で行くと意外に乗り換えも少なく近いことが分かり久々に東京に出向いた。

予想はしていたがチケット売り場でもう長蛇の列。美術館て好きだけれど特別展みたいなのは人が多すぎて嫌だ。案の定中もすごい人。でも近くて見ないと浮世絵って額も小さいのが多いし線も細いのでなるべくじっと並んでよく見た。

私は美人画とか江戸百景みたいなのが好きだ。役者絵とかはあまり好きじゃない。美人画は着物の柄とかそういう細かなところを見るのが好き。広重の雪中の浅草,もあった。東京百景の中でも好きな絵だ。見た瞬間ぱっと目を引くし、今もある場所でそして当時のその場所がすごく想像されて色のコントラストとか配置とか見事だなあと思う。橋の上に雨が降ったやつ(題が分からない)、も雨が線なんだけどすごく雨の感じが分かる、というあのセンスがすごいなあと思う。

他にも有名な北斎の富嶽三十六景の絵もあった。北斎のあの有名な絵は、なんかイラストレーションみたいな感じがしてなぜかモダンな感じがする。ものすごく計算されて書かれているのだろう。津波みたいな波で船なんか流されちゃうような高さの波なんだけど、富士山もどんだけ急なんだよというくらい尖がった山になってるんだけどでも富士山で。やはりすごいセンスの持ち主なんだろう。

どうでもいいけど美人画を見るとうちの娘の目みたいだと思う。うちの子は目が細い。教科書に載っていた紫式部の挿絵を見て男の子達に、お前にそっくりだ、と言われしょげていた。まあ私の目も細いので悪いね遺伝で、と思う。

最近の浮世絵も展示されていて「髪梳ける女」というのがすごく印象に残った。最近と言っても1920年の作品だそうだ。浮世絵じゃないけれど竹下夢二の絵もすごく好きなのだが、この時代の美人画が好きなのかもしれない。綺麗な女の人って女が見てもいいなと思う。

途中でふと、蔦谷書店の蔦谷って、版元の蔦谷重三郎と何か関係あるのではないか、と思って調べたら違ったのだけどそう思う人は結構いるみたいだった。

 

2時間近くかけ浮世絵を堪能して、両国付近を散策しようと思ったけれど雪はちらついて寒いし車を引き取らなきゃいけないしでUターンしてそのまま帰ってきた。また美術館巡りしたいなあと思った。

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