星を見ていた。

思っていることを、言葉にするのはむずかしい・・・。
良かったら読んでいってください。

よその島

2023-04-30 09:51:25 | 

歳を取ると自分の年代に近い人が主人公の小説を読みたいなとちょっと思うようになってきた。なぜだろう。同じくらいの人たちがどんなか気になるからだろうか。

 

井上荒野さんは好きな小説家の1人だけど、そんなに沢山は読んでない。「切羽へ」を読んだ時はすごいのを書く人だなあと思った。読んで島の風景と方言がまるで映画を見たような感覚になったのを覚えている。

 

「よその島」を本屋で手に取って、裏の紹介文を読んで、あ、これも年齢の上の人達の話だ、とすぐレジに持って行き電車で読み始めた。70代の夫婦とその友人の70代男性が島に移住し余生を過ごす話。

 

ミステリーのように始まって、でもこの作者はミステリー作家じゃないからミステリーじゃないんだろうなと思いながら読んだ。同じ話を登場人物3人の視点が入れ替わって語られ進んでいくのだけれど、途中であれ、何かさっきと違うな、っていうのが出始めて、その食い違いは後半に行くほど大きくなる。あれ私の読み間違いかな?とページを戻り確認するがやはり違う。いや本なんか出版するとき何度も校正するだろうし編集者が矛盾に気付かないことないし、あ、あれかな記憶って後から改竄されたり思い込みで事実とは違う風に都合よく記憶されたりするから、そういうことかな、等色々考えながら読み進んだ。

 

最後まで私も気付かなかったけれど、年齢を考えたらあり得る事かと、物語の内容は現実的ではないけれどその記憶の食い違いの原因には現実味があった。

 

切羽へ、もそうだけれどこれも島の話。私は島の生活というのはよく分からないけれど、もっともっと小さい島を想定していて、そのことが余計に非現実感があったのかもしれない。でも読んでると主人公の1人は作家で島のカルチャーセンターで講師をするし、島にビルがある、って描写があったからそんなに小さな島じゃないのだろう。(勿論架空の島なんだけど)

 

最後、これは泣く小説じゃないのに、主要登場人物全員が集まり夕食を取るシーンでちょっとうるっと来た。脳梗塞で記憶の無くなった母を思い出してしまったからかな。

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桜の季節

2023-04-02 11:50:25 | つぶやき

あっという間にこの時期になってしまった。

日照時間が長くなったなあと感じると憂鬱になる。5月病、とかそういうのじゃなく訳もなく嫌な気持ちになる。ああ冬が終わってしまう、と。

職場も、まあ私はどんな人間関係でも何とかやっていける自信はあるのだがやっていけるのとやる気がないとは違う。春は人事異動の時期だからかそれでもやもやするのもあるかもしれないけれど、とにかく気が重い。

先々週は休みがたくさんあって桜のニュースが入る度、休みのうちに見に行けるかとそわそわしていたら雨が多く断念。先週1日休みがあったので天気予報は曇り、他の予定をさっと済ませ近所の森(公園)に行く。

まだ桜は咲いていた。満開になったくらい。この場所は子供を育休中は毎日のように散歩に連れてきた。花見にも何度も来た。最後に来たのはよく覚えてないが、父が亡くなるちょっと前に来た記憶がある。その時に父は癌で余命宣告されていたので後何回来れるのだろうかと思ったのだ。その後東日本の年にも来た。日本があんな事になり、東北が壊滅的被害に遭っているのに同じように桜が咲いているのが酷く印象に残った。

そうしてやはり、子供達の学校の入学式には大抵桜が咲いており、そういった記憶が色々と思い返された。

ここに来たのは本当に何年か下手したら十年くらい来てなかったのかもしれない。家から飲みもの食べ物持ってきたので空いているベンチに座ってお昼にした。平日なのっ人はまばらで天気は寒くも暑くもなく平和な午後だった。

子供の頃は桜を見ても何も思わなかった、若い時も綺麗だとは思ってもそれ以上の感慨はなかった。どんどん歳を取り、毎年桜がいつ咲くのか気になるようになり、そしてあと何回見れるだろうと思うようになった。

桜は記憶と結びついて、記憶は感情と結びついている。

何年振りだったけど来て良かった。少し元気が湧いてきた。

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