雨が好きじゃない。もうここずっと何年か下手したら何十年も雨が嫌いだ。仕事に行く時に雨が降っているともう仕事に行くのが嫌になる。なんでこんなに雨が嫌なのか考えてみたが、まず濡れるのが嫌だ。雨の靴を考えるのが嫌だ。駅から帰るバスの本数が少ないので帰りに歩くのが嫌だ。晴れなら歩くのは苦にならないが。湿気が嫌だ。と、とにかく雨が嫌いである。
冬が終わると悲しくなる。冬の間は滅多に雨は降らないし湿気も無い。快適。日本は梅雨時がいちばん雨が多いような気がするが、以前調べたら9月くらいがいちばん雨が多かったような気がする。春も雨が結構多いし梅雨は勿論夏も最近だとゲリラ豪雨とか、そして秋の長雨。だから私は冬が好きなのかもしれない。
最近もっぱらAmazonで映画を見ているが、久々にノルウェイの森、を見てみた。前に見た気がするし、小説は若い時に一度読んだきりだが内容はだいたい覚えていた。しかし何だか初めて見たようにあまりにも覚えていなかった。小説の方も自分がまだ20歳そこそこの、恋愛やら何やら何も分かっていない時に読んだせいか、読後それほど深く考えこんだ記憶がないのだが、この年で見るとなかなか考えさせられた映画だった。
見終わって、この映画、雨のシーンが多いな、と思った。彼女のアパートで誕生日を祝うシーンとか、外で雨が降っている。原作も雨が降ってることになっていたのかどうかは定かではないが、しかし雨のシーンは美しく情緒がある。またセリフが少ない。まあ彼女が精神を病んでいるという事情もあるのかもしれないがセリフで物事を説明するタイプの映画は好きじゃないのでそれはいいなと思った。小説は主人公が内面を長々思考することをいくらでも文にできるけど、映画でそれをセリフとかナレーションでするのは、私はすごく不粋に感じてしまう。
この映画は原作が好きで見たわけではなく、監督が青いパパイヤの香り、と言う映画の監督で、私はこの映画が大好きなのだ。それで改めてもう一度青いパパイヤの香り、も見てみた。
そうしたらやっぱり雨のシーンが多い。そしてセリフもナレーションも凄く少なかった。舞台がベトナムなので風土的に雨のシーンが多いのかと思っていたが、この監督、雨が好きなんだろうか。
でなんとなく、立て続けにこれらを見たら雨が素敵に思えてきた。そもそも子供の頃は雨が好きだった。休みの日が雨だと堂々と家の中でお絵描きしたり静かにしていられるのが好きだったのだ。5月頃の、もう寒くはないけど暑くもなく湿気もない時に外で静かに雨が降っていて、ちょっと雨の匂いがする、という情景を思い出し、子供の頃はたしかに梅雨も夏もさして嫌いじゃなかったなと思い出した。
知り合いはマンションに住んでいて、マンションは雨の音がしないという。ああうちは一軒家だからこんなに雨のことが気になるのか、とも思った。ここ数年は夏や秋には台風が来ると雨よりも風が強くて怖い。台風シーズンでなくとも風の強い時が多い。雨より風が嫌なのかもしれない。しとしとて、静かに降る雨は好きなのかも。
昨日は家族は誰もいなく、昼過ぎから雨が降って来た。誰もいないしんとした家、静かに降る雨、外の樹は若葉で青くなって来ている、こういう雨は好きかも、と思いながら本を読んだ。久々に雨が嫌じゃなかったかも。(まあ出掛ける予定がなかったからだよね)