選手・関係者と一般の接触回避
菅義偉首相は10日、衆参両院の予算委員会で東京五輪・パラリンピックの開催について改めて意欲を示した。「安心、安全な大会を実現するには感染対策が極めて重要だ」と訴えた。
野党から新型コロナウイルス禍での五輪を危ぶむ質問が相次いだ。立民の枝野幸男代表は「新たな変異型が持ち込まれるのは許されない。国民の命、暮らしと開催を両立することは不可能と言ってもいい」と指摘した。
首相は野党の追及に「選手や大会関係者に感染対策をしっかり講じる。国民の命と健康を守っていくのが責務だ。開催にあたっての基本的な考えだ」と繰り返した。「選手や大会関係者と一般人が交わらないようにする」と強調した。
海外から五輪関係で入国する人からの感染が懸念されている。首相は選手の行動管理を徹底し、移動を専用車両に限定すると表明した。違反した選手は大会に参加する資格を剝奪するとも語った。
丸川珠代五輪相も選手の行動に関して「(仕事をする場所を指す)用務先や、競技会場、宿泊施設の3カ所以外は絶対に自由行動はない。その3カ所しか行けない状況になる」と明言した。大会組織委員会が行動を管理すると説明した。
大会を取材する報道関係者への対応も論点になった。首相は報道関係者が指定された場所以外で取材することは「絶対にないようにする」と答えた。丸川氏も「守ってもらえない人にはビザを出さない」と話した。
丸川氏は「政府が海外からの入国者数を最大9万人と推計した」との一部報道を巡り「その数にならない。組織委員会で精査している」と発言した。具体的な人数は明らかにしなかった。
立民の蓮舫氏は「大会関係者の人数がわからないのに、なぜ感染を防ぐと言えるのか」と追及した。丸川氏は「人数にかかわらず行動管理を徹底的にすることをプレーブックに記載している。組織委に準備をお願いしている」と述べた。
蓮舫氏は選手らの入国時や滞在中のPCR検査を十分に実施できるかにも疑問を呈した。丸川氏は民間の検査も使って対応する意向を示した。
今回の五輪は海外からの観客は受け入れない。国民民主党の玉木雄一郎代表は「無理してやると資金不足になるのではないか。国民が税負担する可能性もあるのか」と質問した。
立民の山井和則氏は「感染爆発していても開催するか」と問うと、首相は「そんなことは全く申し上げていない」と反論した。
自民党の二階俊博幹事長は10日の記者会見で、新型コロナ禍での開催に関して「政府が第一義的に判断すべきことだ。判断を待ってから協議したい」と言明した。