ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

ブルー・ジルコンのクロスペンダント

2008年06月29日 | ジュエリー作品&試作品

皆さん、『ジルコン』っていう石をご存知ですか?キュービック・ジルコニアとは違いますよ。インド・スリランカ・ミャンマーなど限定した地域でしか採れない天然石です。ブルーのジルコンは、加熱処理によるエンハンスメントです。ダイヤモンドさながらの強い反射と照りがあり、屈折率が高く、また光が分散するため、力強い光を放ちます。

初めて見たときは、その強い輝きに驚いて、”この石、なんじゃ!?”という感じのインパクトがありました。静止画像だとその様子がうまく伝わらなくて残念です。(私のリコーCaprio君は、強い光が苦手です。)天然石という意味では、こんな綺麗な石がなぜ安いのか首をかしげます。

ここに掲載したものは、”作品”ではなく、技法を試すための習作、練習、実験台、でして、衆人環視にさらすのはあまりにイタイしろものですが、このブログは、”奮闘記”と銘打っているだけあって、いろいろなゲテモノが登場するということでごカンベン下さい。



これは何をしでかしたかというと、洋彫りの留めの工程をワックスで再現してみようという実験企画でした。

2年前に私が見た洋彫りでの石留めのプロセスをざっとご説明しますと、地金はまっさらの状態から始まります。

1)下穴をドリルで開け、石座となる部分をラウンドバーで削って作ります。
  石座と石座の間があく場合はコーンカッターで石座間に溝をつけます。
2)オブジェクトのエッジから0.5mm残して溝を彫ります。(溝を切る、という言 い方をしておられました)
3)爪を起して留め、ナナコで丸めます。
4)石の周囲の地金を根気良く彫りながら取り除いていきます。”ほじりとる”というのかな?

プロセス的には和彫りとほぼ同じかと思いますが、道具が異なり、”グレーバー”という、丸い柄つきの彫刻刀に近い長いツールを握って、親指で押しながら刃を手前から向こう側に押し進める感じで彫ります。

しかも、恐ろしいことに彫刻台バイスやピッチボールなどの固定台は使わず、3cm径くらいの木の棒の先にヒートフォームで作品を接着し、左手に棒を持って、机のへりで支えながら右手で彫るという、なんとも不安定な姿勢を強いられます。

もちろん一度で地金を彫り取るのは無理なので、何度か同じところを彫る作業を繰り返します。気が遠くなるような作業です。

某スクールで洋彫りによるストーンセッティングの体験講座を受講してみたのですが、『とてもじゃないけど私には無理だ!!』と思いました。(その時、生徒15人くらいいたけど一人も出来てなかった。)イタリアから臨時でやって来たその先生は、毎日朝から晩までこればっかり練習して3~4年くらい修業してようやく商品をとめさせてもらえるようになる、とのたまっており、『本場の彫り留めやパヴェセッティングができるようになりたいというのは、10年前に言え!』という感じでした。新入りの生徒は、タガネ(グレーバー)に慣れるまで、約1ヶ月間、ただ銅版に彫り傷をつける作業を延々やるんだそうです。不器用な私なんか、どんだけかかるやら・・・。 m(= =;)m

そんなこんなで、見た目だけでも”彫り留め風”、”パヴェ風”であればいいから、とジュエリーCADのお世話になろうと考えて、ラヴァーグの門を叩いた次第です。いわゆるハイジュエリーは目指してないので、まあそこそこでいいかと・・・。(笑) 

でも、なんでも自分でやって確かめてみないと気がすまない物好きなROSEとしては、上記の、1)、2)、4)をワックスの段階で手でやったのがコレです。
でも、ジュエリーCADにおける、”なんちゃってパヴェ”(爪留めの応用編)でも結局、手順は似たようなものかと・・・。

これは最後まで仕上げるつもりもなかったのですが、ジルコンがもったいなかった(はずすのが面倒くさかった)ので、バチカンまでつけていちおうペンダントにはしました。石の数と径に合わせて無理矢理クロスを作ったので、バランスを取ろうとしたら余白部分が多くなってしまい、結果として彫った部分が悪目立ちしております。やはり、ホンモノの彫りのようなキラキラ感がありませんよね。”あはは、やっぱりなー”って感じです。

それでも、ジルコンが放つ光がキラキラと強いため、遠目だとアラは隠せて誤魔化せてます。(^^;



恒例・着せ替えシリーズ。
われながらほんとに駄作でゴメンナサイ。(恥)