[アテネ 9日 ロイター] ギリシャ財務省は9日、同国の債務交換への参加率が85.8%となったと発表した。
参加率は、国内法に準拠した国債(1770億ユーロ)を対象にしたベース。集団行動条項(CAC)を適用すれば、全体の参加率は95.7%に達するとしている。
欧州連合(EU)・国際通貨基金(IMF)がまとめたギリシャ向け第2次支援策(1300億ユーロ)の実行に道が開かれ、市場が恐れていた「無秩序なデフォルト」に陥る事態はひとまず回避された。
財務省は債務交換に総額1720億ユーロの応募があったと発表。国際機関に対し、ギリシャ法準拠国債について、CACを発動する意向を伝えたことを明らかにした。
民間債権者は実質ベースで最大74%の債権を放棄することになる。
外国法準拠国債と、国営企業が発行した政府保証債については、債務交換の受付期限を3月23日まで延長した。
ギリシャ政府報道官は、債務交換の結果について、同国が構造改革を断行できるとの「信任票」を得たと発言。民間テレビ局アンテナに対し「歴史的な瞬間だ」と述べた。
バロワン仏経済相も、RTLラジオで「良いニュースだ。素晴らしい成功だ。われわれは『自発的』というベースを維持しながら、デフォルトのリスクを回避した」と指摘した。
国際スワップデリバティブ協会(ISDA)は、9日1300GMT(日本時間午後10時)に会合を開き、ギリシャの債務交換がクレジットイベントに該当するかどうかの判断を下す。
ギリシャ政府はCACを発動する意向を示しており、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の支払いが発生する可能性が高いとみられている。
銀行など民間債権者を代表し、債務削減交渉の窓口を務めてきた国際金融協会(IIF)は「われわれはギリシャ当局が今朝発表した、自発的な債務交換参加に関する結果を歓迎する」との声明を発表。「債務交換の結果とそれに伴う民間投資家が保有するギリシャ債務の削減は、ギリシャの改革プログラムに対する公的機関の強力な支援を後押しする」との見方を示した。
<アナリストは慎重ながら楽観>
金融市場では、無秩序なデフォルトが回避されるとの思惑から、ギリシャ政府の正式発表に先立ち株価などが大幅に上昇。正式発表後の市場の反応は限定的となっている。
アナリストは、今回の債務交換の結果について、慎重ながら楽観的な見方を示している。ただ、これを機にギリシャ問題が解決するとの見方は少ない。
ソラリス・グループのティム・グリスキー最高運用責任者は「これでギリシャの債務問題が解決するわけではない。ギリシャが話題になるのはこれが最後ではないだろう。ただ、悪い結果にならなくてよかった」と述べた。
ギリシャは5年にわたって深刻な景気後退に見舞われている。昨年12月の失業率は21%と、ユーロ圏平均の2倍。若者の失業率は51%に達しており、国民の間では緊縮策への反発が強まっている。
市場関係者やロイターのデータによると、12日に発行される新ギリシャ国債はグレーマーケットで額面の20%前後の気配値が提示されている。
アテネのディーラーは「ギリシャの選挙や改革の実行リスクをめぐる先行き 不透明感で、高いリスクプレミアムが上乗せされている」と述べた